第八十一部第一章 全戦線でその二十四
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「マウリアが連合の強大化を望んでいないことは事実であり」
「バランサーとしてな」
「はい、ですから」
それが為にというのだ。
「今も我々の前にです」
「さりげなく連合の情報や技術を置いていっているな」
「さりげなくですが」
そうであってもというのだ。
「故意にです」
「連合の敵である我々を強くする為にな」
「バランサーとして」
まさにというのだ。
「そうしていますし」
「こちらが条件を出せばか」
「はい、その時は」
まさにというのだ。
「私の読みですが」
「マウリア高官が連合へのスパイになってもだな」
エウロパ側の、というのだ。
「見て見ぬふりをする」
「そうでしょう、といいますか」
「マウリア自身がだな」
「今連合の情報を集めています」
技術のそれもだ。
「そうしていますので」
「だからだな」
「はい、マウリア高官をスパイに仕立てることは」
「最初からか」
「そうであると言えます、ならこちらは」
「マウリアに見返りを出してか」
「そう考えます」
モンサルヴァートはギルフォードに述べた。
「エウロパ軍務相として」
「わかった、実は首相も副首相もだ」
カミュ、そしてアランソもというのだ。
「このことについてはな」
「マウリア高官をスパイに仕立てることについては」
「最早半ばそうなのでだ」
連合に対するそれだというのだ。
「強く仕掛けることはだ」
「ないですか」
「そう言っている、だがマウリアは彼等の思惑で動いている」
国益、それを求めているというのだ。
「我々の前に連合の情報や技術を置いてもだ」
「彼等の考えのうえのことで」
「我々が欲しいものかというとな」
「そうとは限らないですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「ここはだ」
「手に入れたい情報や技術を」
「マウリアから手に入れる」
連合のそれをというのだ、マウリアから手に入れた。
「それをしていくか」
「これまで通りさりげなくですね」
「表でも裏でもあえて言わずに取引材料を渡してだ」
マウリア側にというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで情報や技術を手に入れて」
「役立てていく」
「そうしていこうというお考えですか」
「こちらが欲しいものを確実に手に入れてこそだ」
そうしてこそというのだ。
「確かな戦略が考えられるな」
「はい、まさに」
「国家戦略がな、だからだ」
「この度はですね」
「マウリアに働きかけていく」
それが真実を言わないで表でしても裏からでもというのだ。
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