暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第二十四章 みんなの未来を守れるならば
[1/34]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

     1
 降参の意、ということであろう。
 言葉の通りに。

 妙に清々しい顔で、床に大の字になっている()(だれ)(とく)(ゆう)は、右手に握っていた長剣を離すと、甲でぱしり弾いた。

 くるくる回りながら長剣は床を滑り、たまたまその位置にいた(ぶん)(ぜん)(ひさ)()が踏み付けて止めた。
 久子は、そのまま拾い上げて、床へと突き立てた。

 ようやく終わった戦闘に、赤毛の魔法使いアサキは小さなため息を吐きつつ、右手に握った剣をゆっくり下げた。
 かちり、
 切っ先が床に触れて、硬い音がした。

 リヒト所長は、肘をついて支えて上体を起こした。
 白銀の魔道着姿のままあぐらをかいて座ると、人差し指で顎を掻きながら、アサキの顔を見上げる。

「そういうところだ。きみは、簡単に人を許してしまうんだよ。……実に胸糞が悪い」
「許してなんかいません」

 冷たい、アサキの目、口、口調である。
 自然に出ているものであるのか、演技の混じったものであるかは、自分でも分からなかったが。

「とはいえ、さして恨んでもいなかろうに。罪を憎んでなんとやら。優等生なんだよ、きみは。……実に胸糞が悪い」
「そんなことはない」

 本心からの、アサキの言葉だ。

 わたしは別に、優等生なんかじゃない。
 ただ人間でありたいと思うのみだ。
 自分が人間だと信じていた時から、そうではないと知った現在も。

「そんな作品に作り上げたつもりもないのだが、先天後天、とにかく結果として」
「わたしは……」

 人間でありたいだけ。
 という思いを声に出そうとしたが、すぐ口をつぐんでしまう。至垂の、「作品」という言葉が胸にぐさり突き刺さって。

 しばらくは、こうして気持ち揺れるのだろう。
 落ち込んだりも、するのだろう。
 自分がキマイラであるということ、魔道器という存在であること、吹っ切れたつもりではいたけれど。でも、それを知ったというか、思い出したのが、ついさっきのことなのだから。安定するまで時間が掛かるに決まっている。

 そんなアサキの思いを知るか知らぬか、至垂はあぐらをかきながら、楽しげに言葉を続ける。

「でもね、その偶然産物の、わたしにすれば腐ってるとしか思えないきみの性根が、ここまでのところ実によい効果を生んでいるんだ。……興味が沸くよねえ。類まれなる魔道の器、優等生的な汚らわしい性根、そんな存在が心の底から怒り、狂い、真の絶望をした時に、果たして我々は目の前になにを見るのか。この世の理を、細い針金の如くにたやすく捻じ曲げる、どんな素敵なことが起こるのかを」

 あぐらをかいたまま、くくっと感情を押し殺そうという笑い声を漏らした。
 まった
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ