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選んだ後継者
第一章

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                選んだ後継者
 チェコのクロク王はこの時自分の跡を継ぐ者を誰にしようか考えていた、それで王妃に対して語った。
「余は王子がおらぬ」
「それではですね」
「王女達から選ばねばならぬが」
「誰を跡継ぎにするかですね」
「それで考えているが」
「誰がいいか」
「三人いるが」
 王女即ち娘達がというのだ。
「誰がいいであろうか」
「それではです」
 王妃は夫である王に答えた、王は濃い茶色の髪と髭であり目は青だ。それに対して王妃は黒髪で目は緑である。
「三番目の娘である」
「リブジェか」
「あの娘でしょう」
「心根が奇麗だからだな」
「はい、そしてです」
 王妃は王にさらに話した。
「予言の力も備えています」
「そうだな、それに姉の二人もだ」
 彼女達の話もした。
「非常に聡明だ」
「道理がわかっていて教養も豊かです」
「そして姉妹の仲がいい」
「それならばです」
「リブジェを女王にしてもだな」
「はい、三人で」
 姉妹三人でというのだ。
「国を無事に治めてくれるでしょう」
「そうだな、しかしな」
 ここで王はこうも言った。
「三人共穏やかで優しい、慈愛に満ちている」
「いいことですね」
「だが戦についてはな」
 こちらのことはというのだ。
「どうもな」
「出来るとはですね」
「思えない、三人共戦の書は読まず剣も槍も使えぬ」
「馬にも乗れません」
「戦場に立つことは出来ない」
「そのことをどうするか」
「そこは娘達に考えてもらうか」
 他ならぬ彼女達にというのだ。
「そうしてもらうか」
「それがいいかと」
「そうだな、では跡継ぎはだ」
「リブシェですね」
「そうしよう」 
 こう言ってだった。
 王は自分の跡継ぎを三女のリブシェに決めた、すると。
 母親によく似た整った穏やかな顔で長く奇麗な金髪の彼女はやはり自分に似た姉達の助けを借りてだった。
 そうして三人で国を治めていった、その治世は穏やかでかつ慈愛に満ちたもので民達は泰平を謳歌していた。
 だがその中で彼等は不安を感じてもいた。
「外は大丈夫か」
「外敵については」
「女王様も姉上様達も戦は出来ない」
「それで大丈夫なのだろうか」
「戦はどうするんだ」
「そうなってしまえば」
「誰が戦ってくれるんだ」
 その時はというのだ。
「一体」
「それが心配だ」
 こう話した、その話を聞いてだった。
 長姉のカジ、次姉のテタは自分達によく似た外観の妹に言った。
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