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ナルシストでいていい仕事
第一章

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                ナルシストでいていい仕事
 OLの河合未可子は仕事の休憩時間に自分のスマートフォンで好きな俳優の公式ホームページを確認していた。茶色がかった黒髪をショートにしていて薄く長い眉と切れ長の大きな長い睫毛を持つ目と細面の白い顔に高い鼻と形のいい耳に赤く小さな唇を持っている。背は一五八程ですらりとしたスタイルである。
 その彼女がその俳優の画像を観て言った。
「決まってるわね」
「ううん、決まってるけどね」
 同僚の田尻すみれが応えた、背は一六二程で長い黒髪を後ろで束ねていてはっきりした大きな目と頬のあたりがすっきりした白いやや長い顔と赤く小さな厚めの唇を持っている。胸がかなり目立っている。
「この人から思ってたけれど」
「どうしたの?」
「画像ナルシストよね」
 決めているその画像を観て言うのだった。
「そうよね」
「それがいいのよ」
「ナルシストなのが?」
「だって恰好いいから」
 未可子はすみれに笑って話した。
「だからね」
「それでなの」
「そう、それでね」
 未可子はさらに話した。
「今度のドラマでも恰好よくね」
「決めてくれるの」
「そうであって欲しいわね」
 笑顔でこう言うのだった。
 だがそうした話をしてだった。
 その後でだ、未可子はすみれと一緒に帰っている顔立ちはいいがやけに仕草を決めている感じの高校生鞄の校章に高という文字はあるのでわかる彼を見て密かに吹き出した。
「あの子何よ、痛いわね」
「ああ、あの子ね」
 すみれもその高校生を見て言った。
「顔はいいけれどね」
「変にポーズ決めてて」
「動きの一つ一つにね」
「あれはないわ、自然体でいった方がいいのに」
「失敗してるわね」
「制服もやけにお洒落にしてるけど」
 ブレザーのそれもというのだ。
「あれはね」
「駄目ね」
「ええ、かえって痛いわ」
「そうね、ただね」 
 ここですみれは未可子に言った。
「あんたお昼休みの時あの俳優さんのホームページ観て」
「ああ、決まってるって言ったわね」
「そうだったじゃない、ナルシストでも」
 それが出ていてもというのだ。
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