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遺産相続の騒動
第一章

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                遺産相続の騒動
 居蔵好美はこの時あまり関わりたくない人間と会っていた、その名は志藤雅といい浮気で絶縁した父の連れ子である。彼女に呼び出されて今会っている。好美は黒い髪の毛を後ろで団子にしている吊り目に眼鏡の長身の女性で雅は一四五程の背で茶色の髪の毛を短くしている垂れ目で穏やかな顔の女性だ。二人共それぞれ働いているが。
 ここでだ、雅は好美に喫茶店で話した。
「あの、母ですが」
「はい、あの人ですね」
「実は今困ってるんです」
「といいますと」
「はい、実はあの人が亡くなって」
「それで今遺産のお話が出ていますね」
 好美は自分からこのことを言った。
「私が別れたとはいえ娘で相続は四分の一で」
「私も縁組してもらっているので四分の一で」
「あの人が今の奥さんで半分ですね」
「それが母は足りないと言ってまして」
「いえ、充分じゃないですか?」 
 好美は雅に眉を曇らせて返した、二人は向かい合ってコーヒーを注文しているが二人共手をつけていない。
「半分ですと」
「母は働いていないですから」
 だからだというのだ。
「ずっと専業主婦で」
「そうなのですか」
「実の父と一緒だった時もそうで」 
 雅がいた頃からというのだ。
「そして父が亡くなって」
「私の父と不倫してですね」
「一緒になってからも」
「そうでしたね」
「生活力がないんです」
 雅は話した。
「全く」
「そうですか」
「しかも最近パチンコに夢中で」
「それでは」
「最近私にも主人にもお金をせびってきていて」
 好美に困った顔で話した。
「困っています、そこに遺産のお話が来たので」
「半分貰ってもですか」
「足りそうにないです、そして娘の私に遺産相続を放棄して」
 そうしてというのだ。
「自分にと言っています、母親を見捨てるのか助けてと言って」
「では私に」
「絶対に来ると思いますので」 
 だからだというのだ。
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