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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
王者の焦り
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に入る。

(スライダー二球からのストレートって話だった。今度は内角ってことだったからレフト前に引っ張る)

ストレートに山を張りタイミングを合わせるバッター。しかし右のサイドハンドから投じられた球種は想定とは違うものだった。

「!?」

山なりの軌道の投球。しかし緩いそのボールなら踏み込みを耐えることができればなんとかできると懸命に堪える。

(よし!!打てる!!)

完全に打つつもりで動いていた彼女は止まることはしなかった。しかし、その山なりのボールはタイミングを外すだけではなかった。

ユラユラと揺れるように落ちてくる緩いボール。打ちに出ていたためにバットを止めることができなかった少女の打球はショートへの緩いゴロとなる。

「希!!」
「ほいほい」

大山が素早い球出しでセカンドへ送球。笠井も早い握り替えで一塁へ送球。ダブルプレーを成立させた。

















莉愛side

「え?今の球なんですか?」

見たことない球種に思わずそんな声が出てしまった。春の大会ではストレートとスライダーしか投げていなかったはずだけど、あんな軌道の球種なんて記憶にない。

「瞳の話だと、あれはチェンジアップらしい」
「え?チェンジアップじゃなくないですか?」

ストレートとのスピード差でタイミングを外すチェンジアップ。しかしチェンジアップはもっと変化が小さく手元を離れた瞬間はストレートと勘違いしてスイングをしてしまう球種。今のボールは投げた瞬間からストレートと違うのが丸分かりだった。

「チェンジアップはタイミングさえ外せればどんな握りでもいいからな」
「自分の投げやすい握りにした結果あの変化なんだろう」

言われてみれば一概にチェンジアップといっても変化の仕方は人それぞれ。ただスピードを抑えたボールもあればショート気味に落ちてくるものもある。佐藤さんのもその派生と考えればいいのかも。

「でもこの回2点入りましたよ」
「そろそろ打ってもらわないとヤバいよ」

ピンチを脱したとはいえ東英は既に0対4。そろそろ打たなければ本当に大変なことになりかねない。

「もう少し見ていたいが、そろそろ行くか」
「えぇ!?そんなぁ!?」
「仕方ないだろ、私たちにも試合があるんだから」

立ち上がった陽香さんの言葉に優愛ちゃん先輩が反論しようと声を上げるがもう既に三回を終わっている試合。残り半分となればもう準備に入らなければならない。

「陽香、あんたは試合見てなよ」
「え?でも……」
「陽香じゃ一緒に走りかねないからね」
「うっ……」

足を捻挫しているため動くことが禁じられている。そのためこの場に留まることを進められていた。

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