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魔法使い×あさき☆彡
第二十ニ章 そう思うなら、それでも構わない
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認めない?
 疲れたよ。
 あと何人、殺せばいいの?
 誰か、教えてよ。



 ぼくこれからお母さんに殺されるの?



 腐った死体が、うず高く積み上げられて山を作っている。
 どさり。
 さらに積み上げられて、山がまた少し高くなる。
 干からびた、
 腐って、じくじくとウジの湧いた、
 片目をくり抜かれた、
 頭を叩き割られた、
 全身いたるところ矢や剣の刺さった、むごたらしい状態で、
 でもまだ、それは生きている。
 あと何時間、あと何分、生きていられるか分からないが、まだかろうじて息はある。
 だが、故の残酷さよ。
 世の、神の無情よ。
 震える、まぶた。
 残っている片目が、うっすらと開く。
 見事に澄み渡る、青い空が広がっている。
 最後の力で、腕を、腐った腕を、動かした。
 手を伸ばし、空を掴もうとする。
 永遠の闇が落ちた。



 だって、あたしのためだったなんて、そんなこと、そんなこと知らなかったからっ!
 殺しちゃった。
 殺しちゃったよ!
 ねえ!



 滅びゆく身体で、ただ待っていただけだった。
 ひたすら、父の帰りを。
 家族に会うこと。
 それ以外になにも望んでいない。
 求めてなんか、いなかった。
 なにが、魔女だ。
 何故、火に炙られ、死ななければならない。
 我々が、誰に、なにをした。
 答えてみろ。
 もしも生まれ変われるならば、
 必ずお前たちを殺してやる。
 呪ってやる。
 お前たちがもし生まれ変わるのならば、
 何度生まれ変わろうとも、呪ってやる。
 千回。万回。
 永劫。
 


 死ぬだけなら、よかったんだ。
 信じたままで、いさせて、欲しかったのに。笑って死ねた、かも知れないのに。
 あなたを呪わせないで、欲しかったな。
 呪わせるな。
 呪わせるな。
 呪わせるな。
 呪わせるな!
 ずっと、ただ、それだけを願っていたのに。
 でもあなたは、呪わせたんだ。
 呪わせたんだね。

     2
 それは、膨大な記憶であった。
 何百人、何千人もの、膨大かつ壮大な、世を呪うためだけの辞典とも呼べる、記憶であった。

 脳の、
 肉体の、記憶。
 流れる血液の、記憶。
 細胞の、記憶。
 DNAの、記憶。

 終末に覚った、哲学の独自解釈の記憶。

 記憶の輪環が自分を縛り締め付けて感じる、原初的な恐怖とそして吐き気。
 経験学習による後天的な理論としての恐怖と、怖気、消失感。
 しかし、その連環の手綱を握って締め付けているのは自分である、という自己矛盾。

 記憶の輪環に、ガリガリガリガリ脳を擦られ削られながら、それは走馬燈のように儚いもの
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