暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
華燭の典 その3
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 二人の婚儀は盛大に執り行われた
アーベル・ブレーメの娘ともあって、東ドイツ各界の人物が参列
式そのものが、一寸した特権階級の社交の場にもなる
軍の関係者も多数参加して、賑やかな宴を楽しんだ
この晴れの日に在ってユルゲン・ベルンハルトは2週間前の不思議な体験を思い起こしていた


「待っていたぞ」
逢瀬からの帰路、ベルリンのパンコウ区にある官衙の通り抜けている時、一人の東洋人が声を掛けてきた
脇に居たベアトリクスは彼の腕に両腕を巻き付ける
上下黒色の詰襟服を着た男は、不敵の笑みを浮かべ、此方に歩み寄ってくる
「何時ぞや、ソ連の攻撃ヘリから助けてやったのを忘れたか」
詰襟は下に来ている黒色のカッターシャツと一緒に鳩尾迄開けられ、黒色の肌着が覗く
男は両腕で、二人の手を掴む
「何をする」
ユルゲンは、男に言い放った
男は、不気味な表情でこう返した
「何、良い男だから少し借りることにしたのさ」
彼女は不気味な事を言う東洋人の手を払いのけようとする
開いている反対側の手で、男の頬を平手打ちした
「走って、ユルゲン」
彼女は、唖然とする彼の手を引いて、勢いよく走りだそうとする
男は弾き飛ばされると、立ち上がり、両腕を胴の中心に持っていく
二人は、勢いよく壁の様な物に弾き飛ばされる
地面にぶつかりそうになったが、寸での所で回避
まるで空中に浮いたような感じを味わう
脇を振り返るとユルゲンが浮いている……
改めて周囲を確認する
自分も浮いている……
どういう事であろうか

「どうだ、素晴らしかろう。
今日は少しばかり気分が良い……。
俺が作った次元連結システムをたっぷり聞かせてやろう」

もう一度振り返る
ユルゲンは、一言も発せず男を睨んでいる
白く美しい顔は、薄く赤色に変わっているのが見える
「何者なの、目的は」
彼女は、たまらず彼に尋ねた
「奴は、日本軍の……」
男の声が割り込んでくる
徹る声でこう言った
「俺の名前は、木原マサキ。
詰まらぬ科学者だよ」
そう言い放つと、哄笑する
男は、右手を懐に入れる
懐中より小ぶりな箱を取り出す
黒色のベルベットであしらわれた宝石箱の様な物
蓋を開けると指輪が2個あるのが見える
「これは俺からの贈り物だ」
銀色の指輪を見せつける
男は、彼の右薬指に嵌める
その際、強烈な肘鉄砲を喰らい、右頬が赤く腫れる
彼女の右手にも同様に嵌める
無論唯では済まず、再度平手打ちを喰らわせた
男はふら付きながら、後ろに引き下がる
「この冥王に手を挙げるとは……、益々気に入った。
俺が今よりソ連上空へ遠乗りに連れて行ってやるよ」
そう言うと、男の体から眩しい光が放たれた

 両名は気が付くと見慣れぬ戦術機の操縦席に居た
狭い操縦席
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ