暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
用意される明日
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莉愛side

『四番・キャッチャー・リュシー・バルザックさん』

凄まじい歓声と共に送り出されるリュシーさん。それを迎え撃つ吉永さんも真剣な眼差しで彼女のことしか見えていない様子。

「勝負か」
「無理する必要ないのに」

リュシーさんが打席に入ったのを確認して腰を下ろす園部さん。ランナーがいるこの場面では長打で試合が決まってしまう。そう考えれば歩かせてもいい気がするけど……

「今の菜々なら抑えられるって判断なんだろう」
「もし力でねじ伏せられたら、次の回の勢いにも繋がるしね」

日帝大の攻撃は残すところ一回のみ。そこで6点差を最低でも追い付かなければならないと考えると、チームに勢いを与える何かが必要になる。それは何かと言われれば、この勝負での勝利だと思う。

「莉愛なら何から入る?」
「ストレートを外角に行くかな?外れてもいいから厳しくいきたい」

ここまで見てきた中でリュシーさんの弱点らしいところが見つけられず無難な入り方しか思い付かない。私にそんな質問が投げられたのを見ると、栞里さんが面白がってか莉子さんに同じ質問をしていました。

「莉子なら?」
「ぶつける」
「「「「「え?」」」」」

ふざけてるのかと思ったけど、莉子さんはあまりにも真剣な表情だったため呆気に取られる私たち。そんな中バッテリーが選択したのは、リュシーさんの頭付近へのストレート。これには私たちだけでなく、会場中がどよめきました。

「もしかして勝負避けてる?」
「座る形だけってことかな?」

敬遠は申告でなくても、何なら立つ必要もない。勝負に見せて歩かせるということもルール上は問題ないのだ。

「次は外角高めに外れるストレートかな」

次の配球を呟く莉子さん。そして吉永さんが投じたのは、彼女が溢したボールと全く同じボールでした。
















第三者side

「すごい。町田監督の言った通りですよ」

一方本部席でも明宝学園の選手たち同様に驚きの声が上がっていた。その原因は町田による予言。

「次はなんですか?」
「ワンバンするカーブかな。できれば足元に行きたいけど」

2ボールからの三球目。投じられたボールは内角低めへとワンバウンドするカーブ。これをリュシーは背中を向けながら交わし、園部が膝をつきガッチリとボールを抑えていた。

「これで3ボール……」
「歩かせるなら申告敬遠でよかったんじゃないですか?」

勝負に行ってるようには見えないほど大きく外れている投球。そのためそんな感想を皆が抱いていたが、町田は首を横に振った。

「次はストレートを入れてくるよ。結構甘いボールがな」

それが本当なのかと注目する面々。その言葉通り
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