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海は危ないが
第二章

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「いや、今度久し振りに一週間休暇が取れたよ」
「一週間ですか」
「それはいいですね」
「長いですね」
「うん、ゴールデンウィークの後にね」
 グリーンはその時期のことも話した。
「そうなったんだ」
「グリーンさんずっと働いてばかりでしたからね」
「お仕事続いて」
「それで、でしたね」
「お正月は休めたけれど」
 流石にこの時はというのだ。
「けれどね」
「それでもでしたね」
「ゴールデンウィークの時もお仕事で」
「ずっと週一回のお休みでしたね」
「それが一週間、どうしようか」
 グリーンは事務所の中で後輩達に話した。
「一体」
「じゃあ旅行どうですか?」
 ここで後輩の一人が笑って話した。
「海か山でも」
「海とか山になんだ」
「はい、どうですか?」 
 笑顔で勧めた。
「いいと思いますよ」
「ああ、駄目だね」
 グリーンはその後輩にいつもの温和な笑顔で答えた。
「海や山は」
「どうしてですか」
「だって海は津波があるしね」
 笑顔のままこう言った。
「山は雪崩があるからね」
「えっ!?」
 グリーンのこの言葉にはだった。
 提案した後輩だけではなかった、その話を今聞いた全ての者がだった。
 思わず言葉を出した彼を見た、そして口々に言った。
「何言ってるのこの人」
「津波や雪崩って」
「そういうのがあるからって」
「いや、自然って怖いね」
 だがグリーンは周囲のそれに気付かずさらに言った。
「やっぱり家でゲームしているのが一番だね」
「そ、そうですか」
「じゃあゲームして下さい」
「楽しんで下さい」
 後輩達もこう言うしかなかった、そしてこの話は。
 忽ちのうちに事務所の中で話題になった、それで彼が主役を務めているアニメの原作者にもその話が届いて。
 原作者はグリーン本人と会った時にこのことを確認した。
「この話本当?」
「そういえばそんなこと言いましたね、僕」
 思い出して肯定する返事だった。
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