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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
戦いのあとで
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アルヴィスを見上げながらため息混じりに言った。
 いつの間にか二人は、やはり私の知らないところでずいぶん仲良くなったようだ。私はそんな二人の姿を楽しげに眺め、そのあとすぐにユウリに気づかれ髪を引っ張られたのだった。



「マギー、いる!?」
 店の扉を開けてすぐに、私は中にいるだろう店の主の名前を呼んだ。
 そして目に飛び込んできたのは、カウンターの向こうに立っているいつもの姿のマギーと、そんな彼女の手を両手でしっかりと握りしめている一人の男性だった。
「みっ、ミオさん!?」
 マギーが声を上げた途端、隣にいた男性は慌てたように彼女の手を離した。そして、私と目があった途端、「あっ!!」と大きな声を上げた。
「あなたがマギーの言っていた、ミオさんですか?」
「は、はい! えーと、どちら様ですか?」
 すると、横にいたビビアンが肘で私の背中を小突いてきた。
「何野暮なこと聞いてんの。年頃の男女が見つめあって手を取り合うって言ったら、あの子の恋人に決まってるでしょ!」
「あっ……!!」
 じゃあこの人が、マギーのことを『変わった子』って言ってた人!?
 でも、どこかで見たことあるような……?
 その男の人は私より年上で、二十代前半に見えた。落ち着いた物腰で、年齢の割には立派な身なりをしている。彼は私に近づくと、なぜか深々とお辞儀をしたではないか。
「!?」
「あなたのお陰で、マギーの魅力に気づくことが出来ました! ありがとうございます!」
 急に突拍子もないことを言われ、呆気にとられる私。
「いや、私は何も……」
 すると、カウンターから出てきたマギーまでもが私に向かって頭を下げたではないか。
「ミオさん、先程は助けていただいて、ありがとうございます!」
「ああ、気にしないで、みんな無事でよかったよ」
 すると今度は、二人揃ってユウリたちの方に向かってお辞儀をした。
「あの、皆さんも、魔物を退治していただいてありがとうございます! お陰で街の皆も大した怪我はなく、無事に家に戻ることが出来ました」
 そう言ったのはマギーではなく男性の方だ。その言い方だと、彼もそのとき現場にいたように感じるのだけれど……?
「もしかしてあんた、コンテストの審査員席にいなかったか?」
「え!?」
「あー、そういえば、見たことある顔だと思ったワ」
 ユウリの指摘に、アルヴィスも頷いている。確かに見たことがあるなと思ったが、いまいちピンと来ない。そもそもあのときは緊張と不安でそれどころではなかったので、周りを見る余裕などなかったのだ。
「覚えててくださって嬉しいです。僕はこの国のアグリッソス商会の責任者で、ライザーと申します。勇者様の仰る通り、審査員を務めていました」
「アグリッソス商会は、この国で最も影響力のある店なんで
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