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ウェディング前のリバウンド
第二章
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 元の体型に戻っているどころではなかった、むしろであった。
「式前に測った時よりも十キロ太ったの」
「そうなの」
 葉月にそのムチムチとした身体で応えた、胸だけでなく身体全体がそうなっている。
「今測ったらね」
「言わんこっちゃない」
「どうしようかしら」
「どうしようもこうしようもないわよ、太ったものは仕方ないでしょ」
 葉月はともりに怒った声で返した。
「それで着るしかないわよ」
「ウェディングドレス入るかしら」
「無理に入れるしかないわよ」
 これが葉月の返答だった。
「こうなったらね」
「それしかないの」
「コルセット締めに締めていきなさい、矯正下着も着けてね」
「苦しそうね」
「自業自得よ、というか旦那さんも止めなかったの」
「実は太めの人が好きらしくて物凄く優しい人だし」
「いい旦那さんになりそうね、けれど今はよ」
 ウェディングドレスを着るならというのだ。
「いいわね」
「無理してでもなのね」
「着るわよ、いいわね」
 こう言ってだった、葉月は他の友人達そして彼女の母親と女性の親戚達と共にだった。
 ともりにウェディングドレスを無理に着せた、ムチムチの身体に彼女が一番痩せていた時に合わせたドレスを着せることはかなり無理があり。
 ともりは泣き叫んでもう無理入らないと言ったが葉月達はそんな彼女の声を無視して強引にドレスの中に入れてだった。
 式に送り出した、美形の新郎は父親に連れられてきた彼女を優しい笑顔で迎えて式はつつがなく行われたが。
 この日からともりは暴飲暴食を止めた、水泳は続けて一番痩せていた時の体型で葉月に対して言うのだった。
「もう懲り懲りよ」
「式のことを思うと」
「ええ、大変だったわ」
「自業自得よ、だから言ったでしょ」
「食べ過ぎ飲み過ぎには注意ね」
「だからああなったのよ」
「式の間地獄だったわ」
 ともりはこの世の地獄を見てきたという顔で述べた。
「本当にね」
「全く、食べて飲むのはいいけれどね」
「過ぎると駄目ね」
「しかもカロリーの高いものや甘いものばかりだとね」
「ああなるわね」
「そうよ、けれどこれで懲りたならね」
「もう程々でいくわ」
「そうしなさい、旦那さんが太目でもいいって言ってもね」
 それでもというのだ。
「太り過ぎは駄目よ」
「それが旦那痩せた私もいいって言ってくれるの」
 ともりは葉月に話した。
「今の私もね」
「つまりあんた自身が好きなのね」
「そうみたい」
「仏様みたいな旦那さんね、大切にしなさいよ」
「ええ、そうするわ」
 こう葉月に答えた、そうしてだった。
 ともりは程々の体型でいてそのうえで夫を大切にしていった、夫婦仲はずっといいままであった。


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