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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
最終審査の真実
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「ミオ!! 無事だったのね!!」
 アルヴィスとともに城の中に入って早々、私たちを出迎えてくれたのは、ビビアンだった。
 ユウリに下ろしてもらい、私はビビアンと抱き合った。わっと涙が流れると、ビビアンは私の首もとに顔を埋めて泣き出した。
「よかったよぉ、無事に帰ってきてくれて!! もう私、あんな間近で魔物を見たの、初めてで……、ううっ、怖かった……!」
 そうだよね、普通の人は魔物に襲われることなんかないもんね。私はビビアンの背中を優しく撫でた。
 きっと、彼女だけじゃない。ここにいるほとんどの人が恐怖を感じたことだろう。
 見れば、怪我をして手当てを受けている人、家族と離ればなれになったのか必死で探している人、言い争っている人たち、疲労で眠っている人たちなど、魔物の襲撃によってさまざまな被害を受けた人たちが大勢いる。
 けれど幸い、亡くなった人はいないそうで、怪我人もそう多くはいなかった。それは何より、ユウリとアルヴィス、さらには城の衛兵たちの活躍に他ならない。
 ユウリはもちろんだが、アルヴィスも近くにいた兵士の武器を借りて積極的に魔物を倒していったらしい。さすがオルテガさんと一緒に旅をしてきただけある。そのお陰もあって、十数匹はいた魔物はあっという間に一掃されたそうだ。
「ユウリさん、それに他の仲間の皆さんも、お疲れさまでした。そちらに救護室があるので、先ずは体を休めてください」
 城内で衛兵に出迎えられた私たちは、戦闘でボロボロになった姿をどうにかするため、まずはそれぞれ着替えや手当てをすることになった。
 早速私はビビアンと一緒に女性用救護室に、ユウリとアルヴィスは男性用救護室に向かった。
 救護室にあるベンチに腰掛けると、すぐにビビアンが私の手と足に包帯を巻いてくれた。足だけでなく、大岩を壊そうと正拳突きを放ち続けてきたときにできた傷もあったことに今更ながら気づく。
「せっかくのドレスが台無しになっちゃったね」
 手当てをしながら、残念そうにビビアンが話しかける。せっかくビビアンが協力してくれたのにこんなことになるなんて、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「ごめんね。靴もどこかに放り投げてきちゃったんだ」
「仕方ないよ。マギーって子を助けるためだったんでしょ?」
 はい、これでよし! と包帯を巻き終えると、持ってくれていた私の荷物の中から、いつもの履き慣れた武闘家用のブーツを出してくれた。
「ありがとね、ビビアン」
「何言ってんの、私にはこれくらいしか出来ないんだから、当然よ」
 そのあと私は、仕切りになっている場所で着替えを始めた。髪をいったんほどき、いつも通りに結ぼうとしたのだが、さっき魔物が放ったベギラマで少し髪が焦げてしまったせいか、うまくまとまらない。そして、あちこち髪を触っているうちに、と
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