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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
最終審査の真実
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ったため、消えてしまったのだという。
 聖水の効力は魔物と関わらない一般市民には馴染みがないため、聖水が撒かれていることすら知らなかったそうだ。つまり、城門のところにあった引きずったあとというのは、その大岩のことだったのだ。
「待ってください。どうしてわざわざ本物の岩に替えたんですか? 俺の仲間はそのせいで手に怪我を負ったんですよ?」
「それについては……。いや、それもコンテストの関係者から話を聞いている。本物の岩とすり替えるよう指示したのは……ヘレンだ」
『!?』
 王様と王妃様以外の全員が息を飲む音が聞こえた。そして私はというと……、どこかでそうじゃないかなという確信があった。
「……なぜ彼女が?」
 ユウリも薄々気づいてはいたのだろう。特に表情を変えることなく、彼は王様に問いかけた。
「そなたも知っての通り、ヘレンはそなたを大層気に入っておった。その上私は、今日のコンテストで優勝したらそなたを婚約者として迎え入れても良いと約束してしまった。その浅はかな考えが、ヘレンに正常な判断を失わせるきっかけとなってしまったのだ」
「……つまり彼女は、自分が優勝するために、他の出場者を陥れようと不正を働いたということですね」
 ユウリの低い声が玉座の間に響くと、辺りは重い沈黙に包まれた。娘が不正を行ったことは、王様たちも認めている。けれど最愛の娘がそのようなことを行い、さらにはそれがきっかけで魔物の侵入を許してしまった。親として、これ以上心が痛むことはないだろう。
「娘の過ちは、親である私の責任だ。コンテストを中止にしてしまったこと、魔物を国内に入れてしまったこと、それらは全て私の過失ということで、今から民に伝えようと思う」
『!!』
 ヘレン王女の代わりに、王様が全ての責任を負うってこと?
 確かにヘレン王女にも非はあるけど、だからって王様一人が背負うには、あまりにも荷が重すぎるのではないか。
「あ、あの! 王様一人が責任を負うのは、あまりにも酷かと……」
 しまった、つい勢いで口を挟んでしまった。
「そ、そうですよ! 確かに不正を働くのは悪いことですけど、それを全部王様のせいなんかにしちゃったら、国の信用も失いかねないと思います!」
 ビビアンも、私に続いて王様に向かって言い放つ。それを聞いていたアルヴィスも、同意するように頷く。
「そうよねぇ……。でも、だからと言って王女様のやったことを無かったことにするのも無理があるわよね。王女様が指示したってのはもうすでに広まってるわけだし」
「……もうよいのだ。我が国のことにそこまで考えてくれるとは、なんと優しき者たちよ。しかし、我が娘のしたことは、私がしたことと同義。罪は償わなくてはならぬ」
「そんな……」
「ヘレンには、しばらくの間謹慎してもらう。そして、コンテストが中止に
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