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チョイ悪大学生の教えること
第二章

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 ある日小学六年生の時担任だった伴瀬泰道眼鏡をかけた黒髪を右で七三分けにしている四角い顔と身体つきの男性教諭今でも彼が通っている小学校で先生をしている彼が家に来て言ってきた。
「君は最近子供達に何を教えてるんだ」
「何って公園で、ですか」
「そうだ、最近児童達がいやらしいビデオや漫画の話を学校でしていたりな」
 彼は谷田に憮然とした顔で話した。
「谷崎潤一郎を読んだりな」
「いいですよね、谷崎」
「文学的価値は高くても小学生が読むか」
 谷崎の作品はというのだ。
「そんな作品か」
「純文学だからいいじゃないですか」
「いい筈があるか、他にも遊びで裏技や反則ばかりしてな」
「要は勝てばいいんですよ」
 谷田は笑って返した。
「そうじゃないですか」
「喧嘩でもか」
「凶器攻撃万歳ですよ」
 やはり笑って言う。
「ブッチャーさんや上田馬之助さん最高じゃないですか」
「喧嘩で武器を使ってもか」
「そうそう、急所攻撃でも何でもやって勝てばいいんですよ」
 かつての担任に悪びれず明るく笑って返した。
「喧嘩やるなら」
「わかった、君は小学生の時手がかかったが全く変わっていないな」
 伴瀬は怒った顔になって述べた。
「お母さん、後は宜しくお願いします」
「お袋?」
「話は聞いたわ!」
「げっ、母ちゃん!」
 ここで部屋の障子ががらっと開いた、そしてだった。
 そこから憤怒の顔をして顔に幾つも血管を出して頭には角があるおばさんパーマの初老の女性が出て来た。エプロンとジーンズがよく似合っている。 
 その彼女がだ、谷田に言ってきた。
「あんた今から知り合いの禅宗の寺に入れるわ!そこで修行して性根なおしてきなさい!」
「寺!?何でだよ」
「その性根を叩き直す為って言ったでしょうが!学校もアルバイトも暫く休むって言っておくわ!」
 こうしてだった。
 谷田は母だけでなく父からしこたまハリセンで叩かれた後で正座一晩のお仕置きの後寺に強制連行された、そうして。
 禅宗の寺で一ヶ月地獄の様な修行を受けさせられた、頭を丸めさせられ過酷な修行と自給自足の生活を送らさせられた。
 そうしてだ、娑婆に戻って来た時子供達に言われた。
「お兄ちゃんどうしたの?」
「何か変わったね」
「別人みたいだよ」
「ああ、色々あったんだよ」
 寺から戻ってきた彼は明らかな別人になっていた、悪気が抜けて達観した老人の様になっていた。そうして二度と子供達に悪いことは教えず外見も普通になりかつての悪童の姿は何処にもなくなっていた。


チョイ悪大学生の教えること   完


                  2022・3・19
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