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ドリトル先生とめでたい幽霊
第九幕その五

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「華々しい場面を書くんじゃないんだ」
「大阪や大阪の人達を書いていたんですね」
「そうだったんだ」
「それで敢えてですか」
「負けた勝負をね」
 まさにそうした勝負をというのです。
「書いて坂田三吉という人をね」
「その人自身をですね」
「書いているんだ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「そうですか」
「それが魅力だよ、大阪から離れることはないけれど」
「大阪なくして織田作さんは語れなくて」
「織田作さんは大阪以外の場所は殆ど書かなかったけれど」
 それでもというのです。
「大阪を考えたらね」
「織田作さん程大阪を書いて大阪を愛した人はいないですね」
「大阪の人達もね、そうした人なんだ」
 こうお話してでした。
 先生は神社を出ましたがそこで、でした。
 犬の狆を連れたおばさんを見ましたがここで先生は笑って言いました。
「そうそう、ニコ狆先生って作品もあったよ」
「ニコ狆先生?」
「煙草のニコチン?」
「それと犬の狆?」
「それを合わせたの」
「そうなんだ、これも忍者の漫画でね」
 それでというのです。
「前にもお話したかな、煙草のその煙で姿を消す」
「そうした忍者の作品で」
「そうした作品もあるんだ」
「織田作さんには」
「これは織田作さんが生きていた頃が舞台でね」
 時代はそれでというのです。
「戦争中のものがなくて煙草を手に入れるのに苦労するとかも書いているんだ」
「まさにその頃だね」
「織田作さんが生きていた頃ね」
「その頃の作品だね」
「そして忍術の先生の顔が犬の狆そっくりで」
「それでなんだ」
「煙草のニコチンと合わせて」
「ニコ狆先生なんだ」
「そうなのね」
「そうなっていてね」
 そうしてというのです。
「その題名で」
「その時の忍者を書いていたんだ」
「何かその作品も面白そうね」
「猿飛佐助もだけれど」
「家にあるから読んでみるといいよ」
 先生は皆に勧めました。
「是非ね」
「うん、それじゃあね」
「お家に帰ったら読んでみるね」
「猿飛佐助もニコ狆先生も」
「そうするね」
「この作品も面白い作品で」
 それでというのです。
「娯楽だね」
「その娯楽っていうのがいいね」
「庶民的でね」
「純文学っていうとどうしても気取ってるけれど」
「そんな感じがするけれど」
「娯楽だとね」
「庶民って感じがするね、本当に織田作さんは大阪の市井の人でね」
 その庶民と言われる人達だったというのです。
「大衆の娯楽の中にいて」
「大阪のものを食べて」
「大阪の街で暮らしていて」
「大阪の人だったから」
「そうだよ、純粋な純文学かっていうと」
 このことはというのです。
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