第十九章 なんのために殺し合うのか
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天井からの白い灯りに照らされながら、通路を、ゆっくり、静かに、五人の少女たちが歩いている。
五人とも、魔道着姿である。
赤い魔道着。
その上に、白銀に赤い装飾が施された防具を装着している、赤毛の少女が、令堂和咲。
青い魔道着。
その上に、白銀と青の防具、気の強そうな顔の、ポニーテールの少女が、昭刃和美だ。
紫色の魔道着。
白銀と紫の防具。おでこから半分に分けた、肩までかかる髪の毛、明木治奈。
普段は、朗らかながら飄々淡々としている彼女であるが、現在は、人質に取られた妹の救出作戦中ということもあって、表情ガチガチである。
白と薄水色の、一人、ふんわりスカートタイプの魔道着。
万延子だ。
ステッキやバトンを手に、夢のエネルギーを振りまいて、幸せパワーで魔獣を浄化させる、そんな魔法少女アニメに登場しそうなヴィジュアル。
アサキたちの隣のエリアである、第二中学校所属の彼女。そこで採用している魔道着のフォーマットだ。
我孫子市天王台の、第二中学校と第三中学校は、共同作戦を実行したり、休みを交換し合ったりなど、慣れ合った部分が多く、そうした「知り合いの情」から今回の作戦に加わった押し掛け助っ人だ。
同じく押し掛け助っ人の、嘉嶋祥子。
中世騎士の甲冑にも似た、銀と黒の魔道着。
それに合わせたのかは分からないが、肩まで伸びる髪の毛も、左右それぞれ銀と黒。
彼女、嘉嶋祥子は、元リヒト所属の魔法使いである。
機密保持のため記憶を消去されること承知の上で、リヒト脱退を考えていた。だが、魂を砕かれた妹をどうにか救おうと、必死になっている親友、慶賀応芽が気掛かりで、組織に残っていた。
至垂徳柳が野望のために慶賀応芽を利用していることに薄々気付いており、それを食い止めようと。
結局、慶賀応芽を救うことは出来なかったが、祥子は応芽に代わっての特使派遣を志願。メンシュヴェルトへスパイとして潜入、というていを取りつつ、メンシュヴェルトと裏で共闘して、至垂の悪事を暴き野望阻止をするために。
しかし、まだ正式に派遣日程も決まらぬうちに、至垂の大暴走ともいえる今回の拉致件が起きてしまった。
もうこうなっては、と、完全にリヒトの敵と知られる腹を決めて、こうして潜入劇に加わっているというわけである。
五人が、ゆっくり静かに歩いているのは、ビルの中、小綺麗な
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