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パンドラの箱
第二章
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「無理です」
「参ったな、この度は純粋に人を思ってだが」
「自業自得です」
 アテナの言葉は厳しかった。
「そんなことをしたからです」
「そう言うな、しかし何とか人を救いたい」
 様々な悪に苦しめられている彼等をというのだ。
「希望を送ってな」
「そのお気持ちは確かですね」
「そうだ、どうすべきか」
「ならです」
 癖のある短い金髪で緑の目の剽軽そうな明るい顔立ちの中性的な若々しい身体のヘルメスが言ってきた。
「ここは彼の弟の妻に働いてもらいましょう」
「プロメテウスの弟のエピメテウスのか」
「パンドラに」
「あの者にか」
「あの者は好奇心旺盛で開けるな、絶対に開けるなと言われると」
「開けるか」
「そうした性分なので」
「わしと同じだな」 
 ゼウスはパンドラの性格を聞いて述べた。
「それでは」
「その性分はなおして下さい」 
 アテナがまた言ってきた。
「オリンポスの主神としてどうかと思います」
「そなたは相変わらず厳しいな」
「厳しくもなります、ですがここはです」
「ヘルメスの言うことをだな」
「聞きましょう」
「そうだな、それでパンドラにか」
「希望を入れた箱をこっそり送るのです」
 そうするというのだ。
「ゼウス様を警戒しているプロメテウスの目を盗んで」
「そうしてだな」
「はい、エピメテウスも警戒していますが」
 プロメテウスの弟である彼もというのだ。
「しかしです」
「パンドラはか」
「そんなことは考えておらず」
 そうしてというのだ。
「二人も彼女に何かあるとはです」
「思っていないか」
「はい、ですから」
「ここはだな」
「私が老婆に化けてです」
 ヘルメス自身がというのだ。
「パンドラに預かって欲しいとです」
「希望が入った箱を差し出してだな」
「そしてです」
「開けてはならぬとか」
「言います、中には恐ろしいものがあると言って」
 そう言ってというのだ。
「そしてです」
「渡すのだな」
「そうします、これでです」
「人間に希望が渡るな」
「そして希望が人間を守ってくれます」
「ではそうしよう」 
 ゼウスはヘルメスに会心の笑みで答えた、こうしてだった。
 ヘルメスは老婆に化けてパンドラのところに行った、波だった黒髪を長く伸ばした黒い目で長身で見事な身体の女だった。左目の付け根の黒子と紅の大きな唇が艶やかだ。
 ヘルメスはその彼女に囁いた。
「開けないで下さいね」
「駄目なの」
「絶対に。何があっても誰に言われても」
 こう囁いて去った、だが。
 パンドラは彼の予想通りにそう言われると開けずにいられず数日経って我慢出来なくて開けた、こうして人間達の傍に希望が常にある様になった。
 ゼウスはそれを見てだ、笑顔で
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