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それ以上
第三章

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「これよりな」
「大蔵卿は随分鼻高々ですが」
「その案内を受けますか」
「これより」
「自分の能力だけではない」 
 王は一行の先頭、ホスト役として案内をしている彼を見て言った。茶色の髪に細面の白い顔で顔立ち自体は穏やかな風だ、だが。 
 豪奢な王に匹敵するまでのみらびやかな服に身を包みふんどり返っている、その彼を見て言うのだった。
「富と権勢もな」
「見せつけていますね」
「まるでご自身がフランス一の者である様に」
「その様に」
「流石に余より下だと思っている」
 そのフーケにしてもというのだ。
「まだな」
「幾ら権勢があろうとも」
「富があろうともですね」
「流石にそこまでは思われていませんね」
「大蔵卿でも」
「若しそうであれば謀反を企てているとして首を刎ねている」
 そうしているというのだ。
「何よりも許せん、だが次だ」
「次?」
「次といいますと」
「あの者は余の次にだ」 
 王である自身のというのだ。
「あると思っている」
「陛下にですか」
「王の次ですか」
「国を治められる方の」
「そうだ、フランスとは私であり私は国家そのものだ」 
 王は自身の信条を述べた。
「神から与えられたな」
「それに次ごうとする」
「そのことが許せない」
「そうなのですね」
「そうだ、余の次に来る者はない」
 決してというのだ。
「万民の上に君臨する余に、そのことが許せぬのだ、だが今はな」
「城の中に入られ」
「もてなしを受けられますか」
「そして宴もですか」
「受けよう」
 こう言ってだった。
 王は他ならぬフーケの案内を受けて城の中に入った、すると城の中もだった。
 実に豪奢であり凝った造りだった、壁もカーテンもシャングリラもだった。
「王宮より上では」
「こんな城があるとは」
「いや、神聖ローマやスペインでもここまでは」
「トルコや清の宮殿には流石に及ばぬと思うが」
「しかしここもまた」
「非常に凄いな」
「これはルイ=ル=ヴォーの建築だな」
 周りの者の一人が言った。
「あの者の」
「あの高名な建築家か」
「あの者の手によるものか」
「凄いものだと思ったが」
「あの者のものか」
「そしてこれは」 
 今度は絵画を見て言った。
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