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船の守り猫
第一章

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                船の守り猫
アースン=アルスランとクドベッティン=カーターはイスタンブールで海運業を営んでいる。アルスランは口髭の似合う中年男でカーターは色黒の長身の男だ。
 二人はこの時イスタンブールのハイダルバシャ港彼等の船の母校で出港前の点検をしていたがそこにだった。
「ニャア〜〜〜」
「ああ、猫か」
「迷い込んできたか」
 二人は一匹の猫、三毛猫に気付いた。
「この辺りの猫か」
「この港も猫多いしな」
「暫く船に置いてやるか」
「出港前だしな」
「しかもな」 
 アルスランは猫を見てあることに気付いた。
「この猫お腹大きいな」
「ああ、そうだな」
 カーターも言われて気付いた。
「妊娠してるんだな」
「子供産む場所探してるのかもな」
「じゃあここで産んでもらうか?」
 カーターはアルスランに提案した。
「そうするか?」
「そうだな」
 アルスランはカーターの言葉に頷いた。
「猫は大事にしないとな」
「そうだ、俺達はムスリムだな」
「コーランにもあるしな」
「猫は大事にしろってな」
「それじゃあな」
 こう話してだった。
 二人は猫を暫く置いておくことにした、すると。
「ニャア〜〜」
「ミュウ〜〜」
「ウニャ〜〜」
「ミャア〜〜」
「ニャウ〜〜」
 五匹の子猫が産まれた、二匹は三毛猫で三匹は白猫だった。
 二人はその猫達を笑顔で見た、だが。
 カーターは出港して船の中で猫達を見守る中でアルスタンに言った。
「一匹凄いのがいるぞ」
「凄いの?」
「ああ、三毛猫二匹いるな」
「三匹が白でな」
「白は三匹雄でな」 
 それでというのだ。
「三毛猫は一匹が雌でな」
「おい、まさか」
「そのまさかだよ」
 彼に笑って話した。
「もう一匹は雄なんだよ」
「三毛猫の雄か」
「あの滅多にいないっていうな」
「それなんだな」
「そうだ、それで子猫達のこれからだけれどな」
「ああ、母猫含めてな」
「船に一匹いて欲しいな」
「猫がいるとな」
 船にとだ、アルスランは答えた。
「それだけでいいっていうしな」
「幸せが来るってな」
「だからな」
「これが雄の三毛だとな」
 それならというのだ。
「尚更らしいんだよ」
「そうなのか」
「何でもな」
 カーターはさらに話した。
「他の猫よりもな」
「幸せをか」
「招いてくれるらしいんだよ」
「そうなのか」
「だからな」
「その猫はか」
「船に置いてな」
 そうしてというのだ。
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