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危険過ぎる企業
第一章

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              危険過ぎる企業
 明らかにだった、その企業は危なかった。
 就職活動中の大学生森宮政治はエダノという居酒屋グループの資料を読んで同期でやはり就職活動中の戸叶淳に言った。
「エダノ絶対にやばいぞ」
「最近売り出し中の居酒屋チェーンだよな」
「ああ、この宣伝見ろよ」
 企業のパンフレットを紹介した、森宮の目はやや鋭く唇は薄く黒髪はマッシュルームカットである。一七三位の背で痩せている。
「パンフレットのな」
「いいことばかり書いてるな」
 戸叶もそのパンフレットを見て言った、黒髪はショートで大きな強い光を放っている目で口は真一文字だ。真面目な顔立ちで背は一七五位ですらりとしている。
「何かと」
「ああ、それで言葉の一つ一つがな」
「結構根性論だな」
「それで企業の宣伝用PV観るとな」 
 スマートフォンを出してそれを紹介した。
「どうだよ」
「何か朝礼がな」
「根性論全開でな」
「しかも自己啓発セミナーみたいだな」
「自分の反省点や成果を盛大に言うよな」
「何かあった社員がな」
「それでいい社員には拍手してな」 
 そうしてというのだ。
「悪い社員は慰めるな」
「その慰め方がな」
「全員で肩叩いてだろ、しかもな」
 森宮はさらに話した。
「写真の人達の目をよく見るとな」
「結構虚ろだな」
「目が死んでる人とかな」
 若しくはというのだ。
「何か洗脳されてるみたいな」
「そんな人ばかりだな」
「しかも太ってる人いないだろ」
「皆ガリガリだな」
「あるだろ、そんな国」  
 森宮は真剣な顔で言った。
「日本の隣に」
「北朝鮮か」
「あの国将軍様だけ太っててな」
「国民の人達痩せてるな」
「こんな痩せてる社員さんしかいないってな」
 資料に出て来る社員は全員そうだった。
「それでな」
「しかもか」
「急激に業績上げてるな」
「そうだな」 
「これもだよ」 
 森宮は言うのだった。
「おかしいよな」
「一見いいことに見えるな」
「このこと自体はいいんだよ」
 業績を上げること自体はというのだ。
「それはな、しかしな」
「これまで出て来た状況見てか」
「これはな」
 業績が急に上がってきているのはどうしてかというのだ。
「明らかにな」
「社員さんを酷使してるか」
「ああ」
 そうだというのだ。
「これはな」
「じゃあ俺達がこの会社に入ったら」
「大変だぞ」
「そうなんだな」
「ああ、これはな」
「就職しない方がいいか」
「こうした会社はな」
 こう戸叶に述べた。
「入らない方がいいな」
「ブラック企業だからか」
「どの店も休日なしでな」
 チェーン店の営業時間や日のことも話した。
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