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ドリトル先生とめでたい幽霊
第四幕その十一

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「毎日缶の強いお酒を朝から晩までひらすら飲んで」
「完全に酒浸りだね」
「夫婦で」
「それでもうだね」
「廃人なのね」
「お風呂も入らないで洗濯もお掃除もしないでボロボロの汚い服を着てね」
 そうしてというのです。
「ゾンビか餓鬼みたいになってだよ」
「酒浸りじゃあね」
「本当に廃人よね」
「そうなったら」
「最早」
「そうだね、それでね」
 最早というのです。
「長くないよ」
「そうだろうね」
「そこまで酷くなるとね」
「かなり深刻なアルコール中毒だろうし」
「それじゃあね」
「あれこそ人間失格だね」
 先生はここでこうも言いました。
「太宰治の作品じゃないけれど」
「あの作品の主人公は麻薬中毒になって入院させられてでしたね」
 トミーがその作品について先生に尋ねました。
「それで、でしたね」
「故郷に帰らさせられてね」
「廃墟みたいなお家に入って」
「そこでボロボロになってね」
「余生を過ごすんですよね」
「そうだよ、そこでね」
「人間でなくなったって言うんですよね」
 この作品の主人公がというのです。
「太宰治自身がモデルとのことですが」
「実際に太宰の人生であったことを書いた作品だよ」
「そうでしたね」
「けれど太宰はそこからも書いてからね」 
 作品にあった様なことがあってもです。
「まだね」
「人間失格かっていうと」
「違ったよ、けれどあの二人は」
「もうですね」
「人間でなくなっていてね」 
 そう言うしかない様になっていてというのです。
「それでね」
「もうですね」
「二人で身体もどんどんボロボロになっているから」
「長くないですか」
「そうだよ、だからね」
「そのうちですね」
「野垂れ死にみたいになるよ」
 それが彼等の末路だというのです。
「もうね」
「そうですか」
「命を何とも思わない、自分の娘だって言っていた命をおもちゃ扱いしてね」
「あっさり捨てて見捨てる」
「命をおもちゃとしか思っていない人達は」
 そうした人達はというのです。
「もう人間じゃないよ」
「心がそうなっていますね」
「そして人間でなくなったらその最期は」
「そうしたものですね」
「いいものにはならないよ」
 決してというのです。
「本当にね」
「人間でないなら」
「もっと遥かに酷い存在になっていたら」
 その心がというのです。
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