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ドリトル先生とめでたい幽霊
第四幕その三

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「結核でね」
「ああ、その病気だね」
「結核でだね」
「奥さん亡くなったんだ」
「そうなったんだ」
「それで凄く落胆したらしいよ、織田作さん」
 その奥さんが亡くなってというのです。
「遺髪をいつも持っていたらしいけれど」
「ううん、そんな一面あったんだ」
「お話聞いてると飄々とした感じで」
「必死に書いていた人だった見たいだけれど」
「織田作さん愛妻家でもあったんだ」
「そうなんだ」
「そのせいか周旋した翌年すぐに結婚したけれど」
 再婚したこともお話するのでした。
「それは上手くいなかったんだ」
「そうだったんだ」
「そのことは残念だね」
「やっぱり最初の奥さんへの想いがあって」
「それでなんだ」
「そうみたいだね、それで今お話した通りに」
 それでというのです。
「織田作さんの作品にはね」
「恋愛もあって」
「そしてその恋愛は市井のもの」
「普通に暮らしている人達のもので」
「美醜を描いたものなんだ」
「本当に武者小路実篤や三島由紀夫だと凄く大事なものになっていて」
 恋愛というものはというのです。
「世界そのもの、そしてきらきらしているけれど」
「決してそうじゃない」
「世界そのものとまではいかなくて」
「きらきらもしていない」
「普通のものだね」
「そうだよ、しかしね」
 こうも言う先生でした。
「味わいのあるものだよ」
「そうなんだね」
「それが織田作さんの恋愛だね」
「ご自身のことも書いている」
「大阪の人達の中にあるものだね」
「そうだよ、こうした恋愛もいいね」
 先生は読みながら微笑んで言いました。
「味わいがあるね」
「源氏物語だとね」
 ここでトートーは日本を代表する古典をお話に出しました。
「もう凄いけれどね、恋愛」
「雅でね」
 老馬は源氏物語のこのことに言及しました。
「凄く奇麗よね」
「優雅で気品のある中での恋愛」
 ガブガブはうっとりとして言いました。
「憧れるものがあるわね」
「その憧れがいいけれど」
 それでもとです、ポリネシアは言いました。
「貴族の世界ね」
「もうこれがこれがきらきらだね」
 チーチーは言いました。
「恋愛の」
「優雅で雅で奇麗で」
「そこがいいのよね」
 チープサイドの家族もこう言います。
「源氏物語はね」
「日本の王朝ロマンスでもあって」
「そこに恋愛があって」
 ホワイティも言います。
「仏教の思想も入っていてね」
「季節や人間心理の描写もあって」
 ジップはそこにも注目しています。
「作品に重みがあるんだよね」
「雅な美しさと人の儚さとね」
 それにと言うダブダブでした。
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