暁 〜小説投稿サイト〜
俺、ツインテールになります。外伝〜追憶のテイルチェイサー〜
Episode1 「起動」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
アンが呟く。

「美しさに重きを置きすぎるな、とあれほど言っておいたが……馬耳東風であったか…」

 呆れたように、それでいてどこか哀しげに溜息をつく。

「帰還要請が来ておりますが、如何致しますか?」

 雀のような姿をしたエレメリアンが、隊長に近づく。

「無論、応じる。到着を待つように伝えておけ」
「はっ!」

 雀型のエレメリアンは、早速その旨を伝えるための手紙を書き始める。

「致命的な弱点を抱えていたとはいえ、副官を任せられる程度には強かった、あのラードーンギルディが敗れ去ったのだ。その世界のツインテールの戦士との戦いは、いくらか楽しめるかもしれんな……」

 腕を組みながら、スクリーンを見上げる隊長エレメリアン。
 送られてきた映像で戦うトゥアールの姿を見ながら、隣にいる雀型エレメリアンの名を呼ぶ。

「スパロウギルディ」
「はっ。なんでしょうか、ドラグギルディ様」
「到着したとしても、スワンギルディだけは出撃を控えるように伝えておけ。奴はまだ若く、まだ鍛え甲斐のたる戦士だ。万が一にでも失うわけにはいかん」
「わかりました。伝えておきましょう」

 真っ赤なマントを翻し、会議室を去るドラグギルディ。
 そう。この世界の終わりは、見知らぬところで着々と歩みを進めていたのだった。



 深夜0時数分前 ラボ




「……」

 起動する(めをさます)と、まず見えたのは蛍光灯の明かりに照らされた、白い天井の研究室だった。

 カメラアイからの画質は良好、集音システムにも異常無し。感度良好。
 次は動作の確認だ。

 起き上がると、私は金属製の作業台の上に寝かされていたことを確認する。動作にも異常はなさそうだ。

 そして辺りを見回すと、白衣を着た銀髪のツインテールのヒトが、目を大きく見開き、両手で口を抑えて立っていた。
 顔を認証する。なるほど、この人が私の製作者(マスター)で、名前はトゥアールというらしい。

「おはようございます。あの……何をしているのですか、マスター?」

 トゥアールは私をじっと見つめ続け……やがて一言、こう言った。

「おはようございます、シルファ」
「……いえ、夜明けまではまだ5時間以上ありますね。『おはようございます』では不適切だったでしょうか?」

 これで合っているのだろうか……と思い、首を傾げる。

「ああ、そうでした。今はまだ真夜中でしたね……って、もうこんな時間!?」

 今度は驚きながら時計を眺めるトゥアール。
 表情の変化の多い、忙しい人だな。と思った。

 そして、最初の会話として、ひとつ確認する。

「あの……」
「は、はい?なんですかシルファ?」
「シルファ……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ