暁 〜小説投稿サイト〜
台風が過ぎて
第三章

しおりを登録しました
[8]前話
 天気を見て顔に触れた空気を感じて妻に言った。
「台風は行ったがな」
「そうね」
 妻も言った。
「それでもね」
「すっきりしないな」
「曇っていて」
 そしてというのだ。
「空気も湿ってるわね」
「そうだな」
「台風はね」
「もう行ったな」
「雨は降っていないから」
「風もないしな」
 昨日まで台風だけあってかなり降っていて風もあった、だがそれでも今はその両方がないからだというのだ。
「それじゃあな」
「間違いなくね」
「台風は行ったな」
「ええ、けれど」
「すっきりしないな」
「こんなこともあるのね」
「そうだな」
 こう言うのだった。
「確かに台風が行ったらすっきりするが」
「そんなこともあるわね」
「そうだな、それでな」
 夫は妻にさらに言った。
「飯食ったらな」
「田んぼ見に行くのね」
「そうするぞ」
「まずはそれからね」
「天気のことは晴れないがな」
「それでもね」
「まずは田んぼだ」
 農業に勤しんでいるならというのだ。
「そうしないと駄目だからな」
「そうね、それじゃあね」
「ああ、飯食ったら行くぞ」
 夫が言ってだった。
 夫婦はまずは朝食を摂った、そして後片付けの後ですぐに水田に出た。幸いそちらも畑も悪いところはなかった。それで二人はほっとしてだった。
「じゃあ今日もな」
「ええ、頑張りましょう」 
 夫婦で話してだった。
 そうして孫達が学校に行くのを見送ってから息子夫婦それに近所に住んでいる息子から見て妹達にあたる二組の娘夫婦と一緒に働いた。台風の後の天気は晴れていなかったがそれよりも仕事を優先させたのだった。
 そして夜にだ、夫は妻に夕食を食べつつ言った。
「明日もな」
「頑張りましょう」
「ああ、そうするぞ」 
 笑顔で言って風呂に入って寝た、次の日は快晴でここでやっと台風が過ぎたと思った。


台風が過ぎて   完


                   2021・9・12
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ