第二部 1978年
ミンスクへ
下命 その3
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マサキ達一行が西ドイツに到着して約3週間後、ゼオライマーを積んだ運搬船がハンブルク港に入港した
当初、ゼオライマーの総トン数から、オーバー・パナマックスの貨物船が計画された
だが、予定日数の超過と陸揚げ港が限定される為、変更
全長53メートルの機体は、横倒しの状態で、帝国陸軍が徴用した重量物運搬船で移送
全体を覆う防水布が掛けられ、紐で周囲を固定した状態だった
その様を見た彼は、まるで小人の国に迷い込んだガリバーが運ばれる様を連想させる
本隊である戦術機部隊は、改造された油槽船に縦に並べ、輸送
日本より直送されたF−4Jと、米国で委託受注されたF−5が、ほぼ同日に到着
米国・東海岸と、日本からの距離を考えれば、十分に早い
人員は、既にドイツ国内に呼び寄せ済みだ
後は、訓練開始を待つばかり
作戦まで4か月程とは言え、時間は無いのだ
彼は、初めて見るF−5戦術機の姿を注視する
F−4とは違い、角ばってはいるが、その細身の作りに、ある種の不安を覚えた
恐らく軽装甲で、被弾面積の大きさから脆弱さが増す事
F−4との重量換算から比して、電子装備や通信機能が削減され、出力低下の可能性も否めない
一度は、帝国陸軍の方で納品拒否された機体と聞く
この様な機体が主力になる様では、戦術機パイロットの生還率も今以上に下がるであろうことを危惧した
戦車の様に、爆発反応装甲や補助兵装を付けねばなるまい……
その機体を見て、暫し夢想したのであった
重量物運搬船から陸揚げされる際、彼は美久と共に早速改修後の試運転に出掛けた
見たところ、外装上の変化はなかったが、関節の潤滑油や電子部品の一部が改められた事が報告書にあった
この世界は、電子部品の発達が元の世界より進んでいる
だが、民生品に関してはその水準は劣っているように思う
喫茶店にすらアーケードゲームが無く、パチンコやスロットマシンも手回しの筐体
「正村ゲージ」が、最新機種として持て囃されている
就学期の児童は、あやとりやメンコ等をして遊び、青少年の娯楽は花札やビリヤード等々
まるで、1950年代の水準である事を見て、いかに軍事最優先で世界経済を回してきた事に、唖然とした
その様な事を思いつつ、彼は港を出て、洋上から高度を5000メートルまで上昇させる
一応、付いてきた連中に、「光線に落とされる可能性」を注意されたが、無視
帰還場所と時刻を告げると、無線を切り、暫し《フライト》に出かけた
バルト海へ北上するかに見せかけて、更に高度を上昇させる
ポーランド上空を高度1万5千メートルで通過
途中から迎撃機でも来るかと構えていたが、ほぼ来なかったので安堵した
白ロシアに向かう途中、光線の照射を受ける
全面に張り巡らさ
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