第七十九部第五章 勝利の予感その二十八
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「サハラの覇者はオムダーマンですか」
「このまま消耗戦に入れば」
「必然的にそうなりますね」
「はい、やはり国力の違いはです」
「嘘を言いませんね」
「どうしても」
伊東は李にも述べた。
「出ます」
「では」
「はい、しかし」
「国力だけではですか」
「決着がつかないのもです」
「確かに。それも真実です」
グリーニスキーもこう伊東に返した。
「国力は重要ですが」
「差があっても覆すことは出来ます」
「そうですね」
「はい、消耗戦になろうとも」
例え国力差を前面に出したそうした状況になってもというのだ。
「ですが」
「人智も及びますね」
「ソフトウェアの力が」
即ち人材の活用も大きいというのだ。
「そしてティムールにはです」
「シャイターン主席ご自身がおられる」
「そうです、ですから」
「あの方がどうかで、ですね」
「オムダーマンとの国力差も覆すことが出来るかも知れないです」
「そうすることもですね」
「はい、確かにこれから消耗戦になればオムダーマン有利ですが」
それでもというのだ。
「それで決まるとは限りません」
「ではこれからどうなるか」
ここでだ、言ったのは李だった。
「我々としましては」
「様子見になるでしょう」
伊東はその李に冷静な声で答えた。
「もっと言えばです」
「我々にはこれといって影響がないので」
「あっても僅かです」
「そよ風の様なものですね」
「痛風患者ですら気にしないまでの」
風があたるだけでそれこそ大の大人が涙を流さんばかりの痛みを感じるがその痛風患者でもというのだ。
「そうしたものです」
「まさに微々たるものですね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「我々はです」
「サハラの情勢については」
「結局です」
「意識せずともよいですね」
「結論としては」
そうなるとだ、伊東は述べた。
「そうなります」
「やはりそうですね」
「伊東首相の言われる通りですね」
マックリーフは伊東のその言葉に賛成して述べた。
「サハラの情勢は難民が出なければ」
「連合にとっては」
「他の世界です」
「まさに別世界のことなので」
「影響もです」
それもというのだ。
「これといって」
「ないので」
「ですから」
それ故にというのだ。
「我々としましては」
「見ているだけでいいですね」
「この戦争で難民が出れば」
「その時はですね」
「中央政府が対応してくれます」
各国政府とば微妙な関係にある彼等がというのだ、自分達が所属している連合を代表する政府だがその関係はやはり微妙だ。
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