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冥王来訪
第一部 1977年
慕情 その2
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ベルンハルト中尉は2週間後、病床から戻った
過労による急性気管支炎との診断で、予後を確認するため、戦術機への搭乗は一時的に禁止
基地での後方勤務となり、大量の決裁書類を処理していた
タイプライターを止めて、そばに居る曹長に尋ねる
「同志曹長、ハイヴ攻略作戦の件だが……」
脇に立つ曹長は、立ったまま、答えた
「同志中尉、実は作戦が多少変更になったのです」
そういうと、白板の方へ歩いて行く
白板に張り付けてある地図と資料を?がし、彼の下へ持って着た
彼は渡された資料を読む
「これは……」
ソ連軍が急遽、通常編成外の部隊を投入することが書き加えてあった
「第43戦術機機甲師団。こんな部隊、前線では聞いたことが無いぞ」
驚いた表情で顔を上げ、脇に居る曹長の顔を覗き込む
「どうやら臨時編成の部隊らしいです。ハイヴの内部探索をする装備の部隊で……」
不意に彼は大声を上げた
「そんなことが出来る部隊があるのなら、なぜ前線に投入しない」
ふと思い悩んだ
(「どこまでも、人をこき使う気なんだ、モスクワ(ソ連)は……」)
曹長が声を掛ける
「良いでしょうか」
意識を現実に引き戻す
「どうした」
「なんでも噂ですが、思考を判読する能力を持った《兵士》を使うそうで……」
彼は再び黙り込んだ
(「この期に及んで、超能力者だと。連中はどこまで行き詰ってるんだ」)
三回ほど、ノックされた後
突然、部屋のドアが開く
椅子に、腰かけているベルンハルト中尉に、向かって青年が歩いて来る
「やっとその気になったか、ユルゲン。だから言ったじゃないか」
中尉は、顔を上げた
脇に居る曹長が、訝しんだ顔をして尋ねる
「誰ですか、同志中尉」
困惑する曹長に向かって、彼は紹介をした
「紹介しよう、(空軍)士官学校の同期で、同志ヨーク・ヤウク少尉」
遮るように声を掛ける
「唯の同期じゃないぞ。次席卒業だ」
ヤウク少尉は、曹長に敬礼をする
彼の敬礼を受けて、曹長が返礼をする
「上も、ちゃんと分ってるんだね。
君には僕みたいな補佐役が居ないと駄目だとね」
曹長が目配せすると、彼は改まって
「無礼な対応をして申し訳ありませんでした」
ヤウク少尉は階級章を見て、慌てて敬礼をしてきたのだ
中尉は、彼の子供じみた態度に呆れた

「お前こそ、前線を放って置いて、何で、ここに居るんだ」
少尉は、腰かけているベルンハルトに答えた
「聞いていないのか。一時帰国命令が出たんだよ」
彼のいない間にウクライナ派遣軍の戦術機実験集団の主だった面々は一時帰国していたのだ
「どういうことだよ」
彼は、同輩に尋ねる
同輩は、おどけたように答えた
「君が帰国して、寝込んでる間に、《パレオロゴス作戦》の下準備が始まったんだよ」
勝ち誇ったよう
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