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役立たずが家に来て
第二章

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「親戚の人達がどうしてもって言うからね」
「僕もいいって言ったよ」
「引き取ったのよ、けれどね」
「厄介者っていうんだ」
「そうよ、粗大ゴミよ」
 踏み付けたままこうも言った。
「だからあなたもこいつに優しくしないで」
「あの、幾ら何でも」 
 夫は自分の妹を今度は何度も踏む妻に言った。
「それは。和香に手もあげないのに」
「こいつは私の敵だからよ」
 妹でもというのだ。
「ずっと私を馬鹿にして虐げて来たね」
「ご両親と一緒に」
「そうした奴だからよ、子供の頃からずっとね」
「それでなんだ」
「これからはこうしてね」
「暴力もなんだ」
「他の誰にも振るわないわよ」
 実際にそうしている、春奈もそれはしない。もっと言えば心優しくて穏やかな人物として評判である。
「けれどこいつだけはね」
「別なんだ」
「長年の恨みがあるから」
 その恨みに満ちた顔での言葉だった。
「こうしてよ、むしろ家に入れてやるだけでもよ」
「いいんだ」
「仕事もしない只のゴク潰しよ」
「けれど障害者年金は」
「もう全部家のものよ」 
 夏樹のものにはしないというのだ。
「家賃よ、それであなたもこいつの世話しなくていいから」
「トイレとかは」
「出来るらしいからね」
 それはというのだ。
「お風呂もそうらしいからいいわ」
「何もしなくていいんだ」
「後は勝手にご飯も食べるらしいから」
「何もしないんだ」
「ええ、こいつは家族じゃないから」
 こうも言った。
「只の厄介者、役立たずってことでね」
「やっていくんだ」
「そうよ、あんたもいいわね」
 夏樹を何度も何度も憎しみに満ちた目で蹴飛ばしながら彼女にも言った。
「うちに置いてやるんだから感謝しなさい」
「・・・・・・・・・」 
 夏樹は何も言わない、だが。
 春奈はその妹を蹴り続けていた、そうしてだった。
 彼女を家に入れたがずっとだった。
 何も世話をせず姿を見れば罵り暴力を振るい。
 食事さえまともに与えなかった、夫と娘そして家の犬や猫は大事にするが。
 夏樹は顔を見る度にそうした、当然服も与えず彼女がどれだけボロボロになってもそうしていた。そして今も。
 台所で水を飲んでいた夏樹の顔を思いきり平手打ちをしてから彼女に言った。
「汚いから何処かに消えなさいよ」
「・・・・・・・・・」
「あんたが私にしたこと忘れてないからね」
 今度は蹴飛ばした、夏樹はその衝撃で壁に当たって倒れたが。
 春奈はその彼女をさらに何度もひっぱたいた、娘の和香まだ幼稚園児の彼女はそんな母を見て父に言った、見れば母によく似た顔だ。
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