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幻の月は空に輝く
暗闇の中の出来事・1
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 チャクラをこれでもかという程足に纏わせ、私はただ走る。

 突然脳裏に響いた警報音。

 それに突き動かされるように、私はさほど大きくは無い手足を無駄なく動かし、うちは一族が住む場所へ転がるように躍り出た。
 ハァハァと、肩を大きく上下させながら辺りの様子を伺う。
 派手に転がったかと思ったけど、どうやら運良くここに人はいないようだ。

 …運良く?

 この場合は、運悪く、が正解かもしれない。


「テン。イタチさんは何処にいる?」

 もどかしい気持ちを無理やり抑え付けながら、私は迷わずに誰よりも気配に敏いテンを頼る。

《向こうだな》

 それに間をおかずに答えてくれるテン。
 
 幾ら原作を知っていたとしても、日時の詳細までわかるわけじゃない。はっきり言って、宵闇族というこの血に流れる特殊な力とテンがいなければ、きっとこの日はわからなかった。

《血生臭いな》

 不快そうに、テンの声が響く。

《ラン》

「わかってる」

 ここに通う間に私は、うちは一族の人たちとは割りと顔見知りにもなった。だから、テンが心配そうに私の名前を呼ぶ理由もわかる。
 きっと、間に合わなかった。
 ここまで漂う濃い…濃すぎる血の匂いの意味が分からないほど、私は何も知らないわけじゃない。

「テン。印を組む。幻術に優れたうちは一族と幻術勝負だ」

《うむ》

 私の頭上を飛んでいたテンが肩にとまる。チャクラを融合させやすくする為だ。複雑に指を絡ませながら、段々とテンと私のチャクラが混ざり合っていく。
 強烈過ぎる程の力に全てをもっていかれそうになるが、私は唇を噛み締める事でギリギリのラインで意識を保つ。
 後ろから軽く頭を小突かれた程度の衝撃で、昏倒してしまいそうな意識。
 少しは強くなったのかも、なんて呑気に考えていたけど、まだまだ全然足りないという事がこういう緊急事態の時にわかってしまう。

《意識が乱れているぞ》

 そんな私の余計な思考に気付いたテンが、チャクラが乱れたと同時に言葉を紡ぐ。私とテンは一心同体だけど、個別の命。侵食し過ぎてしまえば、された側は何かが損なわれる。
 それがわかっているからこそ、チャクラを混じり合わせる時は私という意識をしっかりと保つようにしているんだけど、今回はそんな意識を根こそぎ持っていかれそうな状況だったという事。
 うちはの人たちの傷が深い。
 これは、ほぼ即死といってもいいかもしれない。
 けれど、命が途切れていないなら。
 ほんの少しでも掴めるのなら。
 傷を癒せる空間へと次々と人を放り込んでいく。私は身体をかしているだけで、大半はテンがやってくれているんだけど。
 
「身代わりは」

 けれど亡骸がなかっ
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