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頭の中の秘密
第一章
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                頭の中の秘密
 空港の税関で働いている沢城楓は大学を卒業してこの仕事に就いたばかりでまだ慣れていない、だが持ち前の明るさと元気さで頑張っている。はっきりした大きな目で小さないつも笑顔の赤い唇で顎の先が尖ったやや面長の顔と赤く癖のある髪の毛一五九程の背で胸がかなり目立っていてすらりとした脚にズボンが似合っている。
 楓は今日も頑張っていたがその中で。
 二人の中年のスーツと粋なボルサリーノの男達が通った時にだった。
 ブザーが鳴った、それでだった。
 楓は彼等を見て首を傾げさせた。
「あれっ、別に」
「そうだよな」
「これといっておかしな点ないわよね」
 先輩達もその二人を見て言った。
「普通のビジネルマン風で」
「これといってね」
「ボディーチェック今したれど」
「問題なかったよ」
「けれどまたブザー鳴るし」
「どうしたのかな」
「ヘンリーもですよ」
 麻薬取締犬のシェパードのこの雄の犬もだった。
「反応なしですよ」
「ワン」
「そうだよね」
「何も反応ないわね」
「麻薬じゃないんだ」
「金属反応だけれど」
「ボディーチェックしても何もなし」
「どういうことかしら」
 先輩達も首を傾げさせた、そして楓もだった。
 二人を見て首を傾げさせた、二人はどうして自分達が疑われるのかという顔であった。だがここでだった。
 税関の一番古株の弥永元樹白髪頭で皺だらけの痩せた顔で一七二位の背の彼が来た、それでだった。
 二人を見てだ、彼等に言った。
「申し訳ありませんが帽子を取ってくれますか」
「帽子?」
「帽子をかい」
「はい、そうしてくれますか」
 それぞれのスーツに合わせた色の帽子を見て言うのだった。
「宜しければ」
「わかった、ではな」
「そうしよう」 
 二人も頷いてだった、帽子を取った。すると帽子にもだった。
 異常はなかった、しかし楓は二人の頭を見て気付いた。
「?何か」
「沢城さんはわかったね」
「はい、実は私のお祖父ちゃんが鬘で」
 楓は弥永に自分の祖父のことから話した。
「髪の毛があれで」
「そうだね、この人達は鬘だね」
「しかもです」
 楓は二人の頭を見てさらに言った。
「この人達髪の毛ありますよ」
「そのうえで被っているね」
 その鬘をというのだ。
「そうだね」
「髪の毛がないとボリュームがないんで」
 このことも祖父のことからわかった。
「ぺちゃりとなるんですが」
「この人達は膨らんでいるね」
「帽子を被ってるとわからなかったですが」
「そうだね、申し訳ありませんが」
 弥永は二人にあらためて言った。
「鬘も確かめさせて下さい」
「それはないだろう」
「これは頭だぞ」
「私達は問題ない」
「鬘
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