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Fate/WizarDragonknight
役立たず
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だって共存できるんだよ!」
「その話、まだ諦めてなかったの……?」

 それは、初めて響のシンフォギアを目撃した戦いを思い出す。
 最初、強力な能力を持つファントムと戦い、その中で、響はファントムと共存できる道を探っていたのだ。

「だって、手を繋げるファントムだっているってことだよ! これ、すごいことだよ!」
「……」

 後になっていくにつれて、響の声が大きくなっていく。
 だが、その状態は、可奈美のうんざりしたような声によって途切れた。

「だから、やめてってば!」

 その可奈美の声。
 可奈美には珍しい尖った声に、ハルトは少し驚く。

「……あっ」

 完全な拒絶に、可奈美はばつの悪い顔を浮かべた。
 だが、ソラは薄気味悪い笑顔を絶やすこともない。
 そして。

「う……」
「清香? 清香!」

 ベッドの手すりを軋ませる美炎。
 彼女は、薄っすらと目を開ける清香を覗き込んでいた。彼女は、しばらく焦点の合わない目を右から左へと動かした。

「ここは……?」
「病院だよ。倒れたって聞いて。何があったの? コヒメは?」
「ほのちゃん……衛藤さん……」

 清香は体を起こす。
 彼女が着用していた平城学館と呼ばれる学校の制服は近くのロッカーに収納され、今は水色の病院服を着ている。頭に付けていたカチューシャは近くの机に置かれ、髪をまとめていない清香は少し長髪のようにも見えた。
 清香はしばらく美炎を見つめていると、頭を落とした。

「ごめん……ほのちゃん……ごめんなさい……!」
「どうしたの? 何で謝ってるの? コヒメは……どこに行ったの?」

 だが、清香はそれに答えない。
 清香は、美炎の両腕を掴み、その胸に顔を埋めた。

「き、清香!?」
「ごめん……コヒメちゃん、攫われちゃった……」
「え」

 その言葉に、美炎は大きく目を見開いた。

「攫われたって……」

 その単語の意味を忘れたかのように、美炎は口を丸めた。

「攫われたってどういうこと?」
「ごめん……! ごめんね……」

 嗚咽が止まらない清香。

「落ち着いて、清香! 何? 何があったの?」
「攫われちゃったの……青い、仮面の人が……コヒメちゃんを狙って……」

 青い仮面。
 その単語だけで、ハルトと可奈美、そして響は顔を見合わせた。

「青い仮面って……!」
「もしかして……ッ!」
「間違いない……!」

 トレギア。
 それだけで、ハルトはつい先日の地下での戦いを思い出した。
 グレムリン、そしてさやか(マーメイド)。ウィザードに加えて二体のファントムを相手にしても、決して引けを取らない強敵。

「アイツが……今度は何を企んでいる……!
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