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般若の面
第二章

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 結局宇垣は十二時まで飲んだ、そして自宅に帰った。独身の小林は一人自分の家に帰ったが。
 宇垣は家に帰ってだ、笑顔で言った。
「ただいまぁ〜〜〜」
「・・・・・・・・・」
 いつも通り能天気に帰ったと挨拶したが。
 マンションの玄関に妻の綾が立っていた、グレーのロングスカートと白のセーターにエプロンという服装だ、その彼女が立っていて。
 帰ってきた夫にだ、こう聞いてきた。
「今何時だと思ってるの?」
「ああ、十二時半だな」
 夫は腕時計で時間を確認して答えた。
「そうだな」
「もっと早く帰りなさい!残業以外で午前様は駄目よ!」
「えっ、何言ってるの?」
「怒ってるのよ!」
 いつもとは全く違ってだった。
 綾は激怒して怒ってきた、そうして。
 宇垣はその後綾に噛み付かんばかりに怒られた、そのうえで。
 休日明けに彼は職場で小林に話した。
「いや、もう角出ていてな」
「奥さん怒ってか」
「ああ、もう顔なんてな」
 そちらの話もした。
「いつもの笑顔がなくてな」
「鬼の顔だったか」
「般若だったよ」
 まさにその顔だったというのだ。
「凄かったよ、滅茶苦茶怒られたよ」
「幾ら優しい人でもか」
「午前様は駄目だってな」
 宇垣も古い言葉を出した。
「言われたよ」
「言わんこっちゃないな」
「全くだ、すげえ怖かったからな」 
 角が生えて般若の様だったからだというのだ。
「もうな、飲んでもな」
「午前様は避けるか」
「そうするな」
「そうしろよ、どんな優しい人でも怒る時は怒るからな」
「そうだな、じゃあな」
「ああ、午前様はしないな」 
 宇垣は小林に言うと共に自分にも言い聞かせた、そして実際に彼は二度と午前様はしなかった。怒った妻があまりにも怖かったので。

般若の面   完


                   2021・12・19
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