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ミノス王の真実
第三章

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「言うまでもない」
「王の周りに侍り」
「その相手となり」
「そしてですね」
「余の楽しみとなり長ずれば手足や子を産む母となる」
 男は家臣になり女は妾になるというのだ。
「生贄になって死んだのだ、なら名を変えればな」
「それでよしですね」
「アテネは学問が優れています」
「その為優れた若者が多いです」
「しかも美しい娘も多いです」
「その若者や娘が手に入るのです」
「この様にいいことはない、では今宵もな」 
 ミノス王は好色な笑みを浮かべた、父神に似た顔だがヘラが見るにその笑顔は特に父親に似ているところだ。
「楽しもう」
「そうされますか」
「アテネの若者や娘達を抱き」
「そしてやがては」
「その様にしよう」
 こう言ってであった。
 ミノス王は夜の世界に入った、そうしてまた楽しむのだった。
 やがてミノタウロスはダイダロスとイカロスに助け出されラビリンスから出てまたアテネにテーセウスが出てことの真実を暴かれ以後アテネから七年ごとに男女が七人ずつ送られることはなくなった、すると。
 ミノス王は弱った顔になり側近達に話した。
「ミノタウロスが逃げたことはいいが」
「アテネに真実を知られ」
「そして生贄を送られなくなったことは辛いですね」
「お陰で人材が入らなくなりました」
「アテネから優れた者達が」
「余の手足と子を産む者達がいなくなった」
 そして快楽の相手がというのだ。
「これは残念だ、だが他から入れることが出来ないのならば」
「こちらで育てる」
「そうしますね」
「これからは」
「そうするまで、では民達に学ばせ美しくなる様に務めさせ」
 そうしてというのだ。
「楽しむとしよう」
「そうしますか」
「そうしてですね」
「クレタを治めていきますね」
「その様にしよう」
 こういてそれからはクレタで人材を育てることにした、ミノス王はそうして国を治めていったのだった。


ミノス王の真実   完


                 2021・9・13
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