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ミノス王の真実
第一章
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                ミノス王の真実
 クレタを治めるミノス王は天空を治め雷を使うゼウス神の息子でもある。名君であるが彼はアテナイに要求していた。
「七年ごとにだ」
「若い男女を七人ずつですか」
「差し出すことをな」
「認めさせますか」
「そうだ、ミノタウロスの生贄にするのだ」
 その為にというのだ。
「ラビリンスに入れているな」
「あの迷宮に」
「ミノタウロスの生贄にする為にな」
「七年ごとにですね」
「若い男女を七人ずつな」
「差し出させますか」
「戦に勝ったのだ」
 アテネとのというのだ、父親を彷彿とさせる彫が深く整った顔だ。大柄でしっかりした体格で短い髪の毛で顔全体を髭が覆っている、髪の毛も髭も茶色で縮れている。
「ならな」
「そのことを認めさせますか」
「そうする」
 こう言ってだった。
 ミノス王は実際にだった。
 アテネに七年毎に若い男女を七人ずつ差し出させた、アテネの者達はミノタウロスの生贄になる彼等を常に涙ながらに送ったが。
 アテネの者達は不思議に思った、それはどうしてかというと。
「ミノタウロスの生贄にとのことだが」
「ミノタウロスは頭が牛だという」
「身体は人間だ」
「牛が人を食うか」
「草しか食わない筈だが」
「人が人を食うのはあるが」
 それはまだというのだ。
「牛の頭なら草を食うのが主にならないか」
「例え身体が人でもまずない」
「あるにしても」
「何故人を食うのだ」
「牛の頭に人の身体だというのに」
「頭が獅子なら兎も角」
「おかしなことだ」
 アテネの誰もが首を傾げさせていた、そして。
 これはクレタの者達も同じで彼等もそう思っていた。
「何で牛の頭で人を食べる?」
「それも襲って食うと言う」
「牛が人を食う筈がない」
「人の身体でもどうか」
「しかも七年ごとだ」
「毎日ではない」
「七人ずつの若い男女だけで足りるか」
「不思議なことだ」
 こう言っていた、そして。
 ラビリンスにはだった、朝と晩に。 
 常に飯が運ばれて置かれていた、それは牛が食う様な草だった。朝と晩に多くの草がそうされていた。
 運び入れる者達も言っていた。
「これがミノタウロス様の食事か」
「間違いないな」
「朝と晩いつも運び込むとなると」
「そうとしか考えられない」
「このラビリンスには用足しの場も風呂場もある」
「我等は常に掃除しているが」
「やはりミノタウロス様は草を召し上がられる」
 その草を見て言うのだった、牛一匹の一食分はある。
「間違いないな」
「ではあの生贄達は何だ」
「七年毎に連れて来られるが」
「ラビリンスを掃除しても骨なぞ見たこともないぞ」
「食われた後の人骨も」
「鼠位は見るが」
 しかしと
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