第二章
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「そうしたらです」
「見て下さい」
「この子達がいたんです」
「どういう訳か」
「ガルル・・・・・・」
「ガウウ・・・・・・」
「ガウ・・・・・・」
見れば三匹いた、そしてだった。
痩せ細って衰弱しきって汚れていた、そして三匹で不安そうに身体を寄せ合って怯えきっている。ガルシアは彼等を見て眉を顰めさせた。
「ここでも密輸か」
「調べたらウクライナの動物園からシリアの動物園に送る途中だったとか」
「それが何かの手違いでずっとここにいて」
「それでだったみたいです」
「そうか、しかし今のシリアは」
ガルシアはこの国だと聞いてすぐに言った。
「内戦で」
「酷い状況ですよ」
「まあレバノンも人のこと言えないですがね」
「それでもあそこは今無茶苦茶です」
「どうにもなりません」
「あそこに送るなんてな、それに生きものをこんな粗末な木箱に入れて送って受けるんだ」
それならというのだ。
「どうせ送る方も受ける方もな」
「碌なものじゃないですね」
「本当に」
「どっちの動物園も」
「そうに決まってる、シリアの方に送るべきじゃないな」
ガルシアはここでも苦い顔で言った、そしてだった。
三匹のシベリアトラの子供達がレバノンの動物保護団体に引き取られたとトルコに着いてそこで観光をしている時にスマートフォンで連絡を受けた、そうして。
メキシコに帰って暫くしてから彼等がそこで元気を取り戻してだった。
明るく仲良く育っていると聞いてよしと思った、だが。
バビントンからだ、こう言われた。
「実は警部がおられない時に」
「またそうした話があったか」
「はい、生後二ヶ月の虎の子がプラスチックのケースに入れられていて」
「密輸されていたか」
「この空港じゃないですけれどね」
今日も自分達がパトロールしているテイフアナのというのだ。
「ですが」
「メキシコでか」
「そうでした」
「そうだったんだな」
「メキシコでもあってベイルートでもあるんですね」
「レバノンでもな、何処でもいるな」
ガルシアはバビントンに苦い顔で話した。
「本当に」
「全くですね、悪い奴は」
「悪い奴がいるから俺達がいるけれどな」
「警官がですね」
「ああ、何処でも悪い奴がいてな」
そしてというjのだ。
「悪いことをしているな」
「その連中を一人でもですね」
「取り締まって捕まえていかないとな」
「いけませんね」
「悪人はいなくならないが」
人間の世の性だ、善人もいれば悪人もいる。このことはどうしようもない。
「しかしな」
「それでもですね」
「そこはな」
「少しずつでもですね」
「減らしていかないとな」
「俺達が頑張って」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
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