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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第三十八話 戦いの合間に
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れたイゼルローン要塞攻略戦が大会戦になったのはこれが理由です。そして帝国軍が大艦隊を動員してこちらに寄せて来た場合でも、こちらも対応可能な戦力を揃える事が出来るのも同じ理由です。今回の出撃の情報がフェザーンからもたらされていないとなると、フェザーンも知らなかったとしか思えません。小官の推論はおかしいでしょうか?」

“いや、おかしくはないが、何故大貴族の艦隊と分かるのだろうかと思ってな”

「情報がないからです。前線に出る必要の無い艦隊だから情報がない。編成中の艦隊かとも推測しましたが、普通に考えれば編成半ばの艦隊を前線に持ってくる馬鹿は居ません。こちらでも検索しましたが、得られるのはフェザーン経由で判明している物か、交戦記録のある敵の情報のみ。過去に交戦している貴族の艦隊の情報もありますが、今回の様な艦隊規模は稀です。基本的に大貴族は戦場に出る必要がありませんし戦争は軍人任せです、それでどの艦隊か判らないとなると…小官としては、敵は貴族艦隊としか思えません」

“ふむ。ではメルカッツ艦隊があの場に居るのは何故だと思う?”

「大貴族に好き勝手にやられては困る、からではないでしょうか?…帝国では大貴族の力は凄まじいものと聞きます、だから勝手に出撃することが可能なのでしょう。ですが帝国軍だって面子はある、自由気儘にやられては彼等の軍事戦略が破綻しかねません。しかし出撃してしまったものは仕方がない、メルカッツ艦隊はあの場に居る貴族艦隊の指揮統御の任を与えられているものと小官は推測します」

“いや、見事な推論だ。流石はドッジ中将の秘蔵っ子だ。…准将、別命あるまで現状維持だ”

「了解致しました」
…ふう、喉が乾いた。帝国通ねえ…確かに帝国通には違いない、だけど一から話さなきゃならんのは骨が折れる。敵が貴族か正規軍か、なんて本来気にする事じゃないんだ。よほど動きがチグハグに見えたんだろうな…擬態の可能性もあるけど、この戦力差だ、メルカッツ提督はそんなことしないだろう。知っている人が敵ってのも妙な気分だ…メルカッツ提督も大変だな。ミニ貴族連合軍じゃねえか。
「少佐、改めて分艦隊全艦に通達してくれたまえ。流石に何かやらかす馬鹿はいないだろうが…」
「はっ」



8月27日16:30 ダゴン星域、自由惑星同盟軍、EFSF第二分艦隊、旗艦ベイリン
パオラ・カヴァッリ

 相変わらずやってくれるわね、あの子。なんでも見通す、なんでも知っている…オットーの言う通りだわ。艦隊の動きやら編成を見ただけでよく判るわよねえ…あの子の頭の中、どうなってんのかしら?
「どうしたの、フォーク中尉。そんなに掻きむしると、髪の毛無くなっちゃうわよ」
「…ウィンチェスター少佐は、下士官の頃もあんな感じだったのですか?」
「気になる?」
「はい
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