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自分の娘そっくりの愛人とか
第一章
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                自分の娘そっくりの愛人とか
 大物俳優、還暦を過ぎて最早芸能界の大御所的存在となっている勝川雷太郎は演技力や存在感それにキャラクターやトークの面白さだけでなく。
 女性関係でも有名だった、兎角女性の話には事欠かない、だが。
「奥さん公認だしな」
「幾ら浮気してもいいって」
「それに相手の人いつも無名の芸能関係じゃない人で」
「旦那さんや彼氏さんいる人には手を出さないし」
「後腐れのないすっきりした関係だし」
「本人さんも堂々としてるからな」
 周りどころかマスコミも芸能界の中でもだった。
 彼の派手な書生関係はネタにこそすれバッシングすることはなかった、それは現代では珍しいことであった。彼のキャラクターもそうさせていた。
 勝川は裏表がなく面倒見もいい、そうした性格なので嫌味がない。遊んでいても演技はしっかりとしているので尚更だった。
 彼は叩かれていなかった、それで女性関係も派手なままだったが。
 ある日彼はキャバレーで飲んでいる時に今夜の相手を探していた、それも複数だった。一八〇ある長身で日本人離れした彫のある顔立ちで黒髪をセットしている、姿勢も服の着こなしもよく還暦を過ぎても見事なスタイルだ。
 その彼がだった。
 あるキャバクラ嬢を見て店の主にこっそりと囁いた。
「あの娘だけれどな」
「お気に召されました」
「気に入ったけれどな」 
 それでもと言うのだった。
「誘わないからな」
「そうなのですか」
「ああ、一緒に飲む位ならいいさ」
 黒髪をストレートで伸ばしていて白い肌で楚々とした外見で切れ長の長い睫毛の目と細い眉、紅の大きめの唇と一五九位の背で整ったスタイルを赤いドレスで覆っている。
 その彼女を見つつだ、勝川は店の主に言うのだった。
「しかし誘うのは絶対にな」
「されないですか」
「あの娘はな、そうするな」
「では他の娘ですか」
「そうだ、あの娘だけはしない」
 そうしたことはと言うのだった、そして実際にだった。
 勝川は彼女は絶対に誘わず彼女の話を笑顔で聞くだけだった、そのうえで。
 お持ち帰りは他の娘だけだった、それも常に複数だった。毎日の様に豪快に女遊びを楽しんでいたが。
 彼女だけはお持ち帰りはしなかった、店の者はこのことが不思議だった。
「あの女好きの勝川さんがねえ」
「あの娘だけはお持ち帰りしないなんて」
「こりゃどういうことだ?」
「うちに来たらいつも三人四人ってそうするのに」
「どうしてあの娘だけそうしないんだ」
「どうしてなんだ」
 誰もがこのことがわからなかった、その話を聞いた芸能界の関係者もマスコミの者達も首を傾げさせた。
「あの勝川さんがねえ」
「そんな娘がいるんだ」
「普通に行く店の女の子は旦那さんや彼
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