暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
鍾乳洞
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はずの足音が、静寂を支配した。

「人?」

 その気配に、ハルトは警戒を示す。
 美しい青緑の世界。
 そこに、一か所だけ生じた白と黒の点。ピエロのような印象を持たせるモノクロの服の人物が、鼻歌を歌いながら歩いてきていた。

「やあ。……君たちが、ここの結界を破ってくれたのか」

 その人物は、そう言いながら、今や少し離れた祠に手を伸ばした。
 中に見える注連縄部分へ手を翳した彼。
 その顔を見た途端、ハルトの顔は強張った。

「お前……! 生きていたのか……!」
「ひどいなあ……松菜ハルト君」

 すると、彼の伸ばした手に黒い雷が発生した。
 生身の人間には到底できない芸当に対して、ハルトではなくさやかが目を張る。
 黒い雷は、祠と注連縄を粉々に砕き、瞬時に粉塵と化した。

「お仕事完了……」
「霧崎……!」
「おや。きちんとそっちで呼んでくれてありがとう」

 霧崎と呼ばれたピエロはにやりとほほ笑む。

「まさか、君とここで会えるなんて思わなかったよ。どうやらここは、サーヴァントのような召喚物や、普通の人間は入れないらしくてね。もっとも、他の誰かが入れば、出入り自由になるようだが」
「……何の話だ? まさか、まだ紗夜さんを狙っているのか……?」
「ククク……アッハハハハ!」

 ハルトの問いに、白黒の人物、霧崎は頭を抱えて笑い出す。

「いやいや、まさか。彼女の令呪の力は、全て吸い取ったんだ。もう彼女には用はない。それよりも……」

 霧崎はハルトへ大きく目を見開いた。

「松菜ハルト君……私は、君に興味が湧いてきた」
「俺に?」
「へえ……ハルト君、人気者だね」

 ソラが後ろから茶化してくる。
 だが、それを無視しながら、ハルトは警戒を強めた。

「どういう意味だ? 何で俺なんかに」
「君に出し抜かれるとは思わなかったんだ。いくらノアの助力があったからってね。だから……その力……どこに根本があるのかと思ってね」

 すると、霧崎の体を蒼い闇が包んでいく。

「私は、君のことをもっと知りたい。だから君にも私のことをもっと知っておいてもらいたいんだ」

 一瞬、彼の体に別の姿が重なる。蒼い仮面を付けた、邪悪の化身。

「そういうわけだから……少し……遊ぼうか」

 やがて重なった別の姿が消え、霧崎は静かに懐からあるアイテムを取り出した。
 十字の金の拘束具が備え付けられた、蒼いそれ。
 そのスイッチとともに、拘束具が解除され、それはベネチアンマスクへと変形する。

「来る……!」
『ドライバーオン プリーズ』

 ハルトは、霧崎の行動を見て、ドライバーオンの指輪を使う。即座にハンドオーサーを操作し、ベルトからお馴染みの音声が流れ始
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ