第一章
[2]次話
幸せな結婚
佐藤茜は赤茶色の髪の毛を短めにしており黒く元気な目で細面である。背は一六三位で長い脚ですらりとしたスタイルだ。
その彼女が友人達に笑顔で話した。
「あたし今度結婚するの」
「えっ、あんた彼氏いないでしょ」
友人の一人高橋千晶が茜に驚いて言った。
「確か」
「それがいるのよ」
茜は千晶に満面の笑顔で答えた。
「あたしにもね」
「そうだったの」
千晶ははじめて知ったと驚愕の顔で応えた、茶色の髪をやや長くして丸く大きな目で小さなピンク色の唇で面長の顔である。背は一六〇程で胸が結構ある。見れば二人共動きやすいセーターにズボンという恰好だが茜のズボンはスパッツの様にびったりとしたものだ。
「初耳だけれどね」
「それでもうすぐ籍入れてね」
茜は自分のペースで話していった。
「式も挙げるから」
「私達も招待してくれるのね」
「画像送るから」
式のそれをというのだ。
「楽しみにしててね」
「画像！？」
「そう、画像ね」
それをというのだ。
「送るから」
「そうしてくれるの」
「だからね」
それでというのだ。
「楽しみにしていてね」
「式の画像贈ってくれるの」
「そうするからね」
こう言ってだった。
茜は千晶達の前をうきうきとした顔と仕草で帰っていった、だがその彼女を見送ったその後でだった。
千晶は友人達と首を傾げさせつつ話した。
「茜に彼氏いたの？」
「初耳よね」
「あの娘二次元にしか興味ないって言ってたでしょ」
「彼氏はね」
「三次元の男は碌なものじゃないって」
「そう言ってたわよね」
「それで彼氏って」
千晶は眉を曇らせて言った。
「いるのかしら」
「ちょっと思えないわね」
「とてもね」
「そんな気配なかったし」
「彼氏いたらやっぱり変わるわよね」
「一緒にいる時間出来るから」
それでというのだ。
「影響も受けるし」
「スケジュールも変わるから」
「けれどずっと同じ生活で」
「お話してる内容も変わらないし」
「趣味だってそうね」
「ファッションだって」
「本当にそんな気配ないのに」
全く、とだ。千晶は言った。
「まして私達大学生でしょ」
「学生結婚ってね」
「かなり大胆よね」
「生活のこともあるし」
「そういえば茜アパートに一人暮らしで」
「アルバイトにも精出してるけれど」
それが生活の糧を得る為なのは言うまでもない。
「二人で暮らしていけるの？」
「相手の人お金持ちとか？」
「何か色々不思議ね」
「いきなり言ってきたし」
「謎だらけね」
「それによ」
千晶は怪訝な顔でこうも言った。
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