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大坂の草履取り
第二章

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「お家は残せなかったが」
「右大臣様も国松様も」
「お救い出来た、それではな」
「後はですな」
「腹を切る、では娘を頼む」
 最後にこう言ってだった、治長は米村に娘を託し。
 今まさに落城しようとしている大坂城の中に消えた、米村は治長の娘を譲り受けると城を出て隠れ住んだ。
 しかしだった。
 彼は見付かってしまった、それで江戸まで送られて江戸城にまで引き出された。そうして詰問されることになった。
 幕府の重臣達は米村に問うた。
「お主は大野修理の傍に仕えていたな」
「はい」104
 米村は平伏したまま答えた、額は地に着いている。その状態で答えた。
「その通りであります」
「ではお主に聞きたい」
 幕府の者達は米村にさらに問うた。
「ならお主は右大臣家の金銀や宝のことを知っておるな」
「存じませぬ」
 米村は平伏したまま再び答えた。
「その様なことは」
「知らぬか」
「申し上げた通りです」
「まことに知らぬか」
「一切」
「お主は修理より子を託されておる」
 幕府の者はここで強い声でこう言った。
「草履取りからさむらいになり多くの禄を貰いかつ高い身分も与えられたな」
「そのこと今も心の底より感謝しております」
「忠義も感じておるな」
「今も」
 まさにという返事であった。
「左様です」
「それなら知っておろう」
 治長に取り立てられ高い身分と禄を与えられ傍にいたならというのだ。
「右大臣家の金や銀、宝の場所」
「修理様がご存知だったので」
「大野修理は右大臣家の執権とも言える者であった」
 家の内外を取り仕切っていたことも言った。
「なら知っておろう」
「言えばよい」
「言えばそれで赦す」
「そなたの命は取らぬ」
「そうするぞ」
 幕府の者達は米村に口々に言った。
「そなたは修理より子を託された程信を置かれた」
「常に傍におったではないか」
「なら聞き及んでおろう」
「その隠し場所は何処であるか」
「申してみよ」
「存じませぬ」
 だが米村はこう答えた。
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