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突きつけられた引導
第三章

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「お前等は親権を失う」
「もう法律や書類のことは全部兄貴が整えているからな」
「こんな時が来るとわかっていた」
「だから全て整えていた、そしてだ」
 文太の兄は二人を見据えて告げた。
「お前等は育児放棄で親権を失い禁治産者になる」
「禁治産者!?」
「何で私達が」
「育児放棄する奴がまともな責任遂行能力があるか」
 親として最低限のことが出来ない者達がというのだ。
「それでだ」
「ちゃんと働いてますよ」
「頭だって普通ですよ」
「それでどうしてなんですか」
「私達が禁治産者ですか」
「今言った通りだ」 
 わかろうともしない二人にまた告げた。
「そういうことだ」
「もう子供達が誰が引き取るかも決まってる」
 文太は最早全てが整っていることをここまでだと述べた。
「その法的手続きも整っている」
「後はこうなるだけだった、お前等はもう判子を押すだけだ」  
「怨むならお前等の馬鹿さ加減を怨め」
「自分達の人生を終わらせたそれをな」
「さあ来るんだ」
 文太達に喚こうとする両親にだった。
 警官達が告げてパトカーに乗せた、そして。
 子供達は二人共一時病院に預けられることになった、それから診察等を受けてからは全て文太達が整えていた。
 パトカーが去るのを見てだ、文太は兄に話した。
「これでな」
「ああ、終わったな」
「あの連中はな」
「人生が終わった、人間としてな」
「そうなったか」
「禁治産者になったら働けない」
 それが無理になるというのだ。
「だから生活保護の申請はしておいた」
「生きることはさせてやるか」
「ああ、しかし親戚全員が縁を切っていてな」
 義絶までしてだ。
「もうとっくに近所からも旦那の会社からも見捨てられている」
「内心な」
「それがこれからは具体的に出る」
「あの連中は誰からも相手にされないな」
「それでどうして生きるか」
「それはだな」
「知るものかだろ」
 こう弟に話した。
「そうだろ」
「ああ、もうどうなってもな」
「そうだな、じゃあな」
「もうこれでか」
「俺達も帰るか」
「終わったからな」 
 こう話してだった、文太は兄と共に車に戻って帰路についた。そして夕食を食べて風呂に入って寝た、まだやることは多いがそれは後のことだった。今日やるべきことを終えて彼は満足して寝ることが出来た。


突きつけられた引導   完


                    2021・9・25
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