暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜ニ人目の双剣使い〜
雪解け
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の顔色がサッと青ざめる
そして、俺の方を信じられないといった顔で見た
詩乃の過去、すなわち殺人を犯したという過去
それについて酷い心の傷(トラウマ)を持っているのはもう知っているだろう。俺が初めて詩乃と話したときもすぐには信用してくれなくて辛かった

「朝田さん、あのね?」

「明日奈は黙っててくれ」

俺を庇おうとしたのかはわからないが、アスナが口を挟んでこようとするが少し強い口調で制止する

「勝手に話したことについては後でどんな罰でも受ける。だが、ここにいる連中はそんなことを気にするような矮小なやつはいない。それは信じてくれ」

詩乃が一人一人の顔を順々に見ていく。そして、全員の顔に敵意や嫌悪感が浮かんでないことを確認すると表情が少し緩んだ

「話したのは詩乃にある人と会って欲しかったからなんだが……見つけたか、キリト?」

「ああ、向こうで待機してもらってる」

「そうか……」

結局、詩乃を本当の意味で過去の呪縛から解放できるのは俺じゃなかった
でも……それでも解放できる一助となれたなら、解放されるまでの支えになれたのなら、それでいいだろう。俺はなんでも最後には自力で解決してしまう主人公なんかじゃなく、他人の力を借りてようやく舞台に立てる脇役なのだから

詩乃のためにきてくれた主人公……大澤祥恵さん、そしてその娘の瑞恵ちゃん。共に詩乃が人を殺したあの場所で、詩乃に偶然とはいえ命を救われた親子

「はい、これ……」

娘の方の瑞恵ちゃんが差し出した手紙。それを読んだ瞬間、詩乃の瞳から涙が溢れた
その涙は雪解け水のように冷たく……だが暖かな輝きをもって後から後から流れる
春の訪れを祝うように
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