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最期の祈り(Fate/Zero)
拾う者 (失った何か)
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か、2001年に、隣町と合併して冬木の町は消えた」
……事態は思ったより複雑だ。まず、少なくともここは僕のいた時間軸ではない。加えて、町の統廃合。冬木に遠坂があるように、他の町にもセカンドオーナーがいる。そう簡単に町の統廃合が進む筈か無い。
「どうした?顔色がおかしいぞ」
「あ、ああ」
まともに返事が出来ない。今の自分に起こった可能性は2つ。1つは時間移動。これだけならまだいい。しかし、もう1つ。ここが平行世界だという可能性。こちらは見過ごせない。仮にここが件の世界だとしたら生きていくだけで様々な問題が出てくるだろう。想像するだけで目眩がする。
「……お前、名前は?」
思索の海から救いあげてくれたのは、またしても彼女だった。
「名、前?」
「そうだ、さっきからなんと呼べばいいか解らなくてな。良ければ教えてくれないか」
そういうと、最初、僕に対して怒ったのとは正反対の、優しい笑みを浮かべた。


……悩むのは後にしよう。もし仮にここが平行世界だとしても、偶然拾ったような命だ。そこまで神経質になる必要はない。今は、



「衛宮……切嗣。それが僕の名前だ」
少し、潮を含んだ風が前髪を撫でた。
「衛宮、か。私の名前は織斑、織斑千冬だ」



目の前の優しい女性に答えよう

ここに、新たなストーリーが始まった。彼が、この世界で救われるのかは解らない。しかし、それでも、何かを拾えるかも知れない一歩でもある。





その後のこと。
「さて、こんなところにお前のような子供がいた理由を訊かせて貰おうか」
「子供?これでも、大人の筈なんですが……」
「これを見てもか」⊃鏡
「ん゛?」
鏡の中の切嗣(但し16歳バージョン)「やあ、俺だよ。おれおれ」
海辺に、かつて正義の味方に憧れた者の慟哭が響いた。

……まぁ、拾うものも有りそうだけど、失うモノもありそうだね……
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