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おぢばにおかえり
第六十六話 好き嫌いその二

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「私にって」
「お嫌じゃないですよね」
「それはないから」
 阿波野君が少し怯えた感じのお顔になっていました、その彼に答えました。
「阿波野君は口が悪いだけだしボディーガードにもなるし」
「女の人、特に先輩はガードさせてもらいます」
「そこは紳士なのね」
「女の子は大事にしなさいって言われてるんですよ」
 ここで阿波野君が出す人はといいますと。
「天下茶屋の大叔母さん二人に」
「じゃあその人達のこと聞きながら」
 丁度いいと思いました、聞きたかったので。
「一緒にね」
「行きますか」
「そうしましょう」
 こう言ってでした。
 私は阿波野君を八条町そして須磨の海に案内しました。
 その須磨の春の海を見てです、阿波野君は私に言ってきました。
「奇麗ですよね」
「ええ、神戸の海もいいでしょ」
「夏には泳ぎたいですね」
「私も結構この海で泳いでたのよ」
「そうなんですか」
「ええ、だからね」
 阿波野君にあらためて言いました。
「また機会があったらね」
「夏にはこの海で泳がれますか」
「そうしたいわね」
「そうなんですね、ただそれだと」
「それだと?」
「先輩水着になりますよね」
「泳ぐのなら当然でしょ」 
 どうしてこんなことを聞くのかわかりませんでした、私は心の中にクエスチョンマークを出しながら答えました。
「水着よ」
「先輩が他の人に水着姿見せることは」
「?泳ぐなら当然でしょ」
「ううん、女の人にならいいですけれど」
 これまたおかしな返事でした。
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