暁 〜小説投稿サイト〜
おっちょこちょいのかよちゃん
142 偽物は不具合を起こす
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 大広間にフローレンスが戻って来た。
「皆様、就寝の準備ができました。それぞれのお名前が扉に掛かれておりますのでご自分の部屋を確認しましてお休みください。部屋はこチラの廊下を出まして右手の階段を昇って1階上の場所、部屋は個室となっております。個人情報の心配はございませんのでご安心ください」
 人間達はフローレンスによって案内された部屋へと向かった。
「お母さんとは別々か・・・」
「あら、寂しいの?普段から一人で寝てるじゃない」
「う、うん、そうだよね。おやすみ」
「おやすみ」
 かよ子は母と別れた。
「かよちゃん、おやすみっ!」
「また明日な!」
「うん・・・!!」
 かよ子はりえやすみ子、ブー太郎や冬田などといった友達と別れて行く。三河口達などの高校生やさりなどの大人ともおやすみの挨拶をする。そしてかよ子にはある男子への挨拶を試みる。
「す、杉山君・・・!!」
「何だよ?」
「お、おやすみ・・・」
「ああ・・・」
 杉山は素っ気なく反応して部屋に行った。
(杉山君・・・)
 かよ子はこの世界に来てからあまり人と話すのを避けている状態の杉山が気が気でなかった。

 かよ子は部屋に入った。シャワー室も、トイレも、洗面所も完備されており、ベッドやテレビなども揃っていた。そしてベッドの上にはパジャマも用意されており、宿と同等かそれ以上のもてなしにかよ子は驚いた。かよ子はは入浴を済ませ、ベッドに入った。
(明日から戦いは始まる・・・)
 かよ子は杖を見る。母・まき子が子供の頃、戦後の苦しみを乗り越えるのに貢献し、娘である自分に引き継がれ、これで杖を狙う戦争主義の異世界の人間や赤軍を返り討ちにしてきた。
(この杖があれば・・・。ここでの戦いを終わらせて、また私達にも元の日常が戻るのかな?いや、そうしないと駄目なんだよね?)
 かよ子は思い出す。四月の終わりのあの異変を。そこから異世界の人間が攻め、赤軍が日本を戦争への道へ再び進ませようとしている事を。そして日常は失われる。今、杉山は大野と喧嘩した事で完全に心を閉ざし、野良犬から自分を見捨てた件で藤木は笹山から嫌われたどころか、クラス全員から嫌われ者となり、笹山を始め皆と決別をする為に異世界へ失踪、そして赤軍と自分達が戦うと同様にこの世界でも平和を正義とする世界と戦争を正義とする世界がいがみ合い続ける。この二つの戦いは関連が深く、戦争を正義とする世界を滅すれば赤軍は日本の交戦権を復活させるに協力できる相手がいなくなる。その利害の一致により、自分達が異世界での戦いに参加する事は避けられない事だとかよ子は自覚した。
(絶対におっちょこちょいしないよ・・・。藤木君を取り返し、この戦いに必ず勝って、杉山君と大野君を仲直りさせて、元の日常を取り戻すもん・・・!!)
 かよ子はそう
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ