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処女伝説
第二章

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「色々ややこしいところもあるわ」
「成程ね、そっちも大変ね」
「否定しないわ」
 肴のホッケを食べながら応えた、そしてだ。
 私達はしこたまお酒を飲んでこの時は別れた、けれど飲み終わってから家でパソコンで業界のことを確認するとだった。
「また誰かが実はとか」
「彼氏さんいるとか?」
「もう結婚してるとかね」
 同居している彼に話した、彼は今仕事から帰ったところだ。
「そんな話してるわ」
「ネットは誰でも好き勝手書くだろ」
「それが実はってね」
「事実書いてるとか」
「あるから。今話題になってる人は」
 二十代の若手人気声優さんだ、美人としても有名だ。
「子供さんはまだだけれど」
「結婚してるんだ」
「当ててる人いるわ、けれど結婚していたら」
 そして彼氏さんがいてもだ。
「色々言われる業界だから」
「ややこしいんだね」
「全く。自分が付き合う訳でも結婚する訳でもないのに」
 それでもだ。
「あれこれ言うのはね」
「的外れだね」
「そんなことどうでもいいでしょってね」 
 私はかなり酔いながらも思った。
「そうじゃないかしら」
「結局はそうなるね」
「ええ、けれどね」
「ファンの人達はそう言ってるのね」
「そうなの。まあそうした業界ってことかしら」
 私はこのことを今ここでこれ以上考えても仕方ないと思って言った。
「そうしたファンの人もいるってことで」
「割り切る?」
「それしかないでしょうし。それじゃあ」
 ここでパソコンの電源を落として彼に向かいなおった。
「シャワー浴びて寝ましょう」
「そうだね、僕も晩ご飯食べたし」
「そうしましょう、明日もお仕事だし」
「お互いね」
「そうしたことは置いておいて」
 あれこれ思ってもだ。
「それでね」
「シャワー浴びて」
「寝るわ」
 アニメ業界にいて声優さん達のことを見てそうした話を聞いてどうかと思ってもそれでも今すぐどうにかなる話でもない、だからだ。
 私はこれで今このことについて考えることは止めてそうしてシャワーを浴びにお風呂場に行った。すると彼も入ってきてシャワーではなく浴槽に湯舟に二人で入って楽しむことになった。こうしたことは二十代なら普通だし別に誰がどうしてもいいだろうと思った。それが犯罪でないから尚更だ、それでそうも思いながら楽しんでからお風呂を一緒に出た。幸い私はそうしても別に何もなかった。そのことは有り難いと正直思った。


処女伝説   完


                    2021・3・1
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