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愛すべき蜂
第二章

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「だからこれからは」
「外でもか」
「ビーは楽しめるわ」
「それは何よりだな」
「そうでしょ、じゃあね」
「これからはこれまで以上にか」
「この子を幸せに出来るわ。羽根はなくても」
 例えそうでもと言うのだった。
「それでもね」
「幸せに暮らせるな」
「ええ、人の助けが必要でも」
 例えそうでもというのだ。
「そう思うわ」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「その子、ビーは随分お前に懐いてるな」
 夫はここでこう言った、見れば。
「ジジジ」
「掌に乗ってな」
 彼女のそこにいた、それも普通に。
「刺したりしないな」
「そうね、虫もね」
「大事にされるとか」
「心があって」
 そしてというのだ。
「親しみを感じてくれるのね」
「そうみたいだな」
「ええ、だったらね」
 それならとだ、フィオナはキャノンに話した。
「これからもね」
「こうして接していくな」
「そうするわ」
「蜂なのに刺さなくて」
 夫はさらに言った。
「そのうえ親しみを見せてくれるなんてな」
「素敵なことね」
「そうだな、素敵だな」
 言われてみればとだ、夫も頷いた。
「確かに」
「そうよね、じゃあこれからもっとね」
「素敵になっていくな」
「そうしていくわ」
 こう言ってだった。
 フィオナはビーとの一緒の時間を過ごしていった、そうして。
 夫と共に蜂と共にいる時間も楽しんだ、それはささやかだがとても幸せな時間だった。


愛すべき蜂   完


                  2021・7・26
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