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Fate/WizarDragonknight
青い影
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ラを口にしながら答えた。
 響は「えへへ……」と照れ、そのままコーラを配っていった。

「かぁーっ! 疲れ果てた五臓六腑に沁みる〜!」
「仕事明けのおっさんか」
「授業明けの学生だ。ハルト。お前飲まねえのか?」

 コウスケが、ずっとコーラを持ったままの手を指して尋ねる。

「お前、ずっとここまで漕いできたんだし、水分補給はしておけよ」
「あ、ああ」

 ハルトは少し顔をしかめながら、コーラを口につける。

「ハルト、お前もしかして炭酸苦手か?」
「あ〜……得意ではないかな」

 ハルトはそう言って飲み干した。

「まあ、嫌いでもないし、別にって感じ」
「ほーん……」
「正直言って生も欲しいな。お前もそう思わねえか?」
「俺まだ未成年」
「ああ、わかるわかる。俺も生ほしいぜ」

 そう言い出したのは、真司。彼もまた、チノからもらったコーラを飲み干し、口に炭酸の泡を付けながらコウスケに賛同する。

「この世界に来て、ほとんど飲む機会がねえんだよなあ……なんか、物価高くねえか?」
「ビールなんてそんなもんだぜ。つーかハルト、お前いくつだったか?」
「十九」
「かぁーっ! まだだったかーっ! 真司、今度飲み明かそうぜ!」
「お? いいねえ。コウスケの奢りだな?」
「いや、お前の奢りだろ」
「いやいや。こちとら別世界の人間なもので、手持ちの金があんまりないんだよ……」
「いやいや。こちとら学生なもんでさあ? バイトしてても、金もそんなねえんだよ」

 酒を巡る戦いを始めた二人に背を向けて、ハルトは静かにコーラを口につける。

「……」

ハルトは空になったペットボトルをコネクトの魔法陣に押し込む。そのあと、保登姉妹とチノが見ていないかどうか、事後確認をした。
 背後では、へこむココアをモカとチノが慰めていた。

「また……お姉ちゃんに負けた……」
「おーおー。世界の破滅みたいな顔してるね」
「あ、ハルトさん」

 チノがこちらに駆け寄り、コーラを差し出した。

「よかったらどうぞ」
「あ、大丈夫。さっき響ちゃんからもらったよ。それより、すごいなココアちゃん……」

 ハルトは、先ほどにも増して暗くなっているココアの姿に言葉を失った。

「あれ……どうするの?」
「モカさんに任せましょう。姉のお手並み拝見です」
「姉のお手並みってなに? あとどうしてチノちゃんそんなにどや顔なの?」

 チノにツッコミを入れていると、モカの声が聞こえてきた。

「そんな顔しないでよ。帰りにスーパー寄ってこ。ココアの好きなもの、何でも作ってあげる」

 すると、落ち込んでいたココアがぱあっと顔を輝かせた。

「じゃあ、お姉ちゃんの特製ハンバーグが食べたい!」

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