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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
特別編 追憶の百竜夜行 其の九
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 今回の大移動は、数十年前にカムラの里を壊滅寸前にまで追い込んだ時と比べれば、まだ小規模なのだが。それでもこの時代のハンターや里守達にとっては、未曾有の脅威であることには違いない。
 圧倒的な巨躯と破壊力を以て、この「百竜夜行」を率いる大物(リオレイア)の存在は、他のモンスター達とは比べ物にならない迫力をその全身から放ち続けている。

「くッ……オレ達がこれだけ仕掛けても、まだ倒れないのかよッ!」

 それが見掛け倒しではないことは、彼女(・・)と戦い続けているアダイト達が誰よりも理解していた。群れの首魁という大敵を相手にしている彼ら主力メンバーは、その全員がすでに満身創痍となっている。

(なっ、なんなんだよ、あのリオレイア……! デカいなんてもんじゃないし、凶暴さも火力も桁違いじゃないか! あんなの、一国の軍隊を総動員するくらいじゃないと勝負にすらならないだろッ……!)

 その状況を岩陰から目撃している1人の新人ハンターは、同期達の中でも指折りの精鋭である彼らが苦戦している光景に戦慄し、震え上がっていた。ミヅハシリーズの防具を纏う、狩猟笛使いのヤツマである。
 負傷により引退を余儀なくされた兄の装備を譲り受け、ハンターの道に入ってからまだ1年目である彼には、大物リオレイアの迫力はあまりにも悍まし過ぎたのだ。無意識のうちに彼の足は、後退りし始めている。

(ダメだ……勝てるわけないよ、アダイト! いくら君や皆が一際強いからって、こんなの僕達みたいな新人なんかに務まる仕事じゃない! 今からでも全員リタイアするんだ! ウツシだって、この状況を見たらきっと分かってくれる! 兄さんだって……!)

 彼自身、ここに駆けつけて来るまでに何頭もの大型モンスターを仕留めてきた精鋭の1人なのだが。これまで打ち倒してきた尖兵達とは比べものにならない強大さを目の当たりにしては、あくまで自分達は「新人」に過ぎないのだと言う現実を思い知らされてしまう。
 これ以上はもはや、経験の浅い新人ハンター達に太刀打ちできる領域ではない。あの優しいウツシなら、そんな自分の言い分も分かってくれるはず。

 そんな期待に縋りながら、ヤツマは眼前で繰り広げられている死闘から目を背けようとしていた。が、自分の身体を守っているミヅハシリーズの防具に視線を落とした瞬間、彼は逃げようとしていた自分の足を止めてしまう。

(兄さん……)

 上位すら凌ぐ実力を持っていた彼の兄は、自分を超えられるハンターになれると信じていたからこそ、(ヤツマ)に己の相棒を託していた。それはヤツマ自身にも分かっていたことで、故に彼は兄の期待に応えるために今日まで戦ってきたのだ。

 全ては弱い自分を必死に押し殺し、兄のような強く明るいハンターになるために。

「――そ
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